大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門
(大阪大学大学院情報科学研究科ユビキタスネットワーク講座)
2009年度研究成果報告

本Webページは大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門(大阪大学大学院情報科学研究科ユビキタスネットワーク講座、中野研究室)の2009年度の研究成果をまとめた報告書です。ご清覧いただき、忌憚のない意見を下されば幸いです。

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目次

  1. メンバー
    1. スタッフ
    2. 共同研究者
    3. 学生
  2. 研究業績
    1. ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究
      1. 複数のバイナリセンサを用いた複眼センサによるオブジェクトの移動特性検出に関する研究
      2. 領域分割を用いたシナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡に関する研究
      3. 動画像中の人物の移動特性検出に関する研究
      4. 動画像中の仮想ゲート通過人数推定に関する研究
      5. IEEE 802.16メッシュネットワークの資源割り当てにおける伝送遅延低減に関する研究
      6. IEEE 802.16メッシュネットワークにおける被覆領域の改善手法に関する研究
      7. IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおけるノード位置の調整による通信性能改善に関する研究
      8. 障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16マルチホップネットワークの性能評価に関する研究
      9. IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおける低遅延な映像データ収集のためのタイムスロット割り当てに関する研究
      10. 信号対干渉比に基づく無線伝送モデルの構築と従来モデルとの比較に関する研究
    2. 次世代情報ネットワークのためのトランスポートアーキテクチャに関する研究
      1. オーバレイルーティングによって増加するISP間トランジットコストの削減に関する研究
      2. 大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバレイルーティング手法関する研究
      3. オーバレイネットワークにおけるネットワーク性能計測手法に関する研究
      4. 無線LAN環境における遅延に基づく輻輳制御を用いたTCPの性能評価
      5. インターネットにおける輻輳制御機構の環境変動への耐性向上
      6. トランスポートプロトコルの改良によるシンクライアントシステムの性能向上に関する研究
      7. 電力消費を考慮した広域分散コンピューティング環境に関する研究
  3. 発表論文一覧
    1. 学術論文誌
    2. 国際会議会議録
    3. 口頭発表
    4. 博士論文・修士論文・特別研究報告
      1. 博士論文
      2. 修士論文
      3. 特別研究報告

1. メンバー

1.1. スタッフ

中野 博隆
中野 博隆
教授
長谷川 剛
長谷川 剛
准教授
谷口 義明
谷口 義明
助教
稲鍵 多圭子
稲鍵 多圭子
秘書

1.2. 共同研究者

村田 正幸
村田 正幸
大阪大学
情報科学研究科
教授

1.3. 学生

倉掛 正治
倉掛 正治
博士後期課程2年
小桐 康博
小桐 康博
博士後期課程1年
石井 倫太郎
石井 倫太郎
博士前期課程2年
栗山 さやか
栗山 さやか
博士前期課程2年
橋本 匡史
橋本 匡史
博士前期課程2年
堀江 拓郎
堀江 拓郎
博士前期課程2年
松田 一仁
松田 一仁
博士前期課程2年
村田 将一
村田 将一
博士前期課程2年
姜 京延
姜 京延
博士前期課程1年
竹森 翔一
竹森 翔一
博士前期課程1年
田中 慎平
田中 慎平
博士前期課程1年
足利 えりか
足利 えりか
学部4年
伊勢 悠輝
伊勢 悠輝
学部4年
重藤 隆文
重藤 隆文
学部4年
Xun Shao
Xun Shao
研究生

2. 研究業績

2.1. ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究

諸技術発展を受けて、あらゆるものが独自の識別子とコンピュータを持ちワイアレスリンクで接続されるユビキタスコンピューティング環境が新しいパラダイムとして想定されている。このような背景を踏まえ、「ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究」を継続している。この研究では、ユビキタスネットワーク環境下の様々なアプリケーションに適用する通信方式を提案し、その特性を明らかにしていく。

2.1.1. 複数のバイナリセンサを用いたオブジェクトの移動特性検出に関する研究

実験の様子
図:実験の様子

近年、無線通信機能を持つセンサを多数配置することでセンサネットワークを構築し、人や自動車などのオブジェクトを追跡する技術が注目を集めている。オブジェクト追跡は、生態調査、交通量調査、移動軌跡データ収集、空調と連動した省電力制御、異なる移動パターンを持つ人物検出による防犯などに応用することが期待されている。特に、赤外線センサなどのようにセンシング範囲内のオブジェクトの有無のみを検出できるバイナリセンサは安価で消費電力も少なく、また、発生するデータ量も少ないことから、バイナリセンサを使ったセンサネットワークによるオブジェクト追跡が注目を集めており、多くの検討がある。

我々の研究グループでは、観測領域を複数のマイクロセルと呼ばれる小領域に分割し、マイクロセル境界上にオブジェクトの移動特性を検出可能なセンサを設置することで、オブジェクトを追跡する手法を提案している。センサは、エレベータ、ドア、階段などオブジェクトの移動特性が変化する地点に設置されるものとしている。これらの検討では、複数のバイナリセンサを組み合わせて構成した複眼センサをセンサとして用いることによりオブジェクトとその移動特性を100%の精度で検出できるものと仮定しており、具体的にどのように複眼センサを構成するか、複眼センサの基本的特性がどのようなものかについてはこれまで検討していなかった。

そこで本研究では、複数のバイナリセンサを少しずつずらして配置することにより構成する複眼センサを対象として、複眼センサのセンシング範囲内に進入したオブジェクトの移動方向や移動速度などのオブジェクトの移動特性を検出する手法を提案した。また、シミュレーション評価により、提案する複眼センサの性能を評価した。さらに、提案手法を市販の赤外線センサを用いて実装し、実環境における評価を行った。

[関連発表論文]

  1. 谷口義明, 合田幸裕, 長谷川剛, 中野博隆, “複数のバイナリセンサを組み合わせた複眼センサによるオブジェクトの移動特性検出,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-71), pp.17-22, Nov. 2009. [paper]

2.1.2. 領域分割を用いたシナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡に関する研究

提案するオブジェクト追跡手法の概要
図:提案するオブジェクト追跡手法の概要

センサネットワークの主要な利用例の1つである人物などのオブジェクト追跡は、例えば、介護施設における事故防止や商業施設等での行動分析、避難訓練のシミュレーションなど、様々な分野での利用が期待されている。オブジェクト追跡手法には様々なものが提案されている。例えば、オブジェクトに固有の識別子を持つ専用デバイスを装着することを前提とすれば、高精度なオブジェクト追跡を実現できるが、デバイスの導入コストが発生する、利用用途が限られる、などの欠点がある。一方、専用デバイスを持たないオブジェクトの追跡手法も数多く提案されている。例えば、Multi Hypothesis Tracking(MHT)ではセンサから得られる観測結果に基づき起こりうるすべての移動を仮説として推測し、事前に推測された仮説の発生確率に基づき、実際のオブジェクトの移動を推測する。しかしながら、MHTでは仮説がオブジェクトの増加と共に指数的に増大し、NP 困難問題となることが分かっている。NP困難問題に対する発見的手法として、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた手法があるが、センサがオブジェクトの色、形、数、速度等を判断できることが前提となっており、カメラなどの高機能なセンサを必要とする。

本研究では、赤外線センサのようにセンシング範囲内のオブジェクトの有無のみを検出できる単純なセンサ(バイナリセンサ)を観測領域中の一部にのみ配置した環境におけるオブジェクト追跡手法を検討した。提案手法では、建物全体などの観測領域を、小規模な領域(以下、マイクロセル)に分割し、マイクロセルの境界にバイナリセンサを2つ設置し、マイクロセル境界を通過するオブジェクトおよびその移動方向を検出する。検出したオブジェクトのゲート通過情報は無線ネットワークを経由してサーバに収集される。サーバは内部に仮想マイクロセルおよび仮想オブジェクト(以下、分身)を管理しており、取得したオブジェクトのゲート通過情報および内部で管理する仮想マイクロセル、分身の情報に基づき、オブジェクト追跡を行う。分身は、オブジェクト移動の可能性の数だけ生成され、仮想マイクロセル上を移動し、必要がなくなれば削除される。センサによりオブジェクトの観測領域外への退出が検出されると、オブジェクト移動として尤もらしい分身の移動軌跡をオブジェクトの移動軌跡として選ぶ。

MHTと異なり、提案手法では、オブジェクトの変則的な挙動を考慮し、分身同士から新たに分身を生成するなど柔軟なオブジェクト追跡が可能である。また、無線通信環境の悪化、センシングの失敗などによりオブジェクトのゲート通過情報の取得に失敗する場合でも、追跡精度を低下させないために、新たに分身を生成する。さらに、不要と推測される分身を削除することにより、分身の爆発的な増大を抑えている。本研究では、シミュレーションによる評価により、提案手法の有効性を評価した。その結果、オブジェクトの変則的な挙動を考慮することにより、オブジェクト追跡成功率が96%向上すること、センサ情報損失推定時に分身を生成することにより、オブジェクト追跡成功率が6%向上することを示した。

[関連資料]

  1. 屋内センサネットワークにおけるシナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡手法の提案 屋内センサネットワークにおけるシナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡手法の提案 (963 KB)

[関連発表論文]

  1. 村田将一, 谷口義明, 長谷川剛, 中野博隆, “領域分割を用いたシナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡手法の提案,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2009-87), pp.59-64, Oct. 2009. [paper]
  2. Masakazu Murata, Yoshiaki Taniguchi, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Improvement and evaluation of scenario-type hypothesis object tracking,” in Proceedings of the 2nd International Workshop on Sensor Networks and Ambient Intelligence (SeNAmI 2009), Dec. 2009. [paper]
  3. Masakazu Murata, “Scenario-type hypothesis object tracking with indoor sensor networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  4. 村田将一, 谷口義明, 長谷川剛, 中野博隆, “シナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡手法における仮説処理の改良と情報損失への対応,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-170), pp.157-162, Mar. 2010. [paper]
  5. Masakazu Murata, Yoshiaki Taniguchi, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “An object tracking method based on Scenario-type Hypothesis Tracking in segmented multiple regions,” in Proceedings of the 6th International Conference on Networking and Services (ICNS 2010), pp.200-205, Mar. 2010. [paper]

2.1.3. 動画像中の人物の移動特性検出に関する研究

動画像処理によるノード数推定
図:動画像処理によるノード数推定

近年、ネットワーク技術の急速な進歩や安価なセンサの普及などにより、あらゆる情報が環境中に偏在するユビキタスネットワーク社会が実現しつつある。ユビキタスネットワーク社会では情報を保持しているノードに対して、ネットワークの構築や通信制御及び環境に適したサービスの提供を行うことが求められる。そのためには、ノードの属性情報やその統計的性質を知ることは非常に有用であるが、人や自動車などモビリティの高いノードに対してそれらの情報を得ることは難しい。

本研究では、ユビキタスネットワーク社会における代表的なノードである人物を対象とし、ノードの属性情報及びその統計的性質の中でも特に有用な、対象領域中のノード数を推定する方法を提案した。対象領域中に存在するノード数に関する情報を実時間処理によって得ることができれば、より環境に適した無線通信の制御や情報の提供を行うことが可能となり、情報の伝達効率を向上させることが可能となる。提案方法では、動画像中の動きのある部分を差分抽出法を用いて抽出し、抽出部分の面積に対して位置パラメータに依存した統計データに基づく変換アルゴリズムを適用し、ノード数への変換を行う。抽出部分の面積とノード数の関係はオクルージョンに影響を受ける。オクルージョンとは画像上で物体同士が重複することで背後のものが見えなくなることを表し、複数ノード間が密集している場合オクルージョンの発生により抽出部分の面積が小さくなる。

ここで、動きのある部分の面積からノード数を得るための変換関数として、学習データより経験的に得られた単純な関数を用いると、学習時と異なる環境において推定精度が低下することが懸念される。そこで本研究では、撮影した人物が動画像中で占める面積に関する簡易モデルを構築し、モデルに基づいて作成した変換関数を用いることによって、ノード数の推定精度向上を図った。提案手法の有効性は目視によって得られた実ノード数と提案手法によって得られた推定ノード数を比較することで評価を行った。その結果、実ノード数と推定ノード数の間の二乗誤差平均が最大で32%削減されることを明らかにした。

また、提案手法では撮影した人物が動画像中で占める部分の抽出精度にノード数の推定精度は大きく依存する。そこで本研究では、抽出精度の向上について検討した。画像中の特定の形状を強調するフィルタ処理(フーリエ変換を用いて、対象とする形状に対応する空間周波数領域の周波数特性を強調)を行うことで、抽出精度の向上を図る。このフィルタ処理は動画像中で一定の形状を持つ剛体を抽出する場合には有効な手段である。そこで、非剛体であり動画像中で一定の形状を持たない人物の場合にも、フィルタ処理による抽出が有効であるか検証を行った。その結果、頭部や胸部など比較的形状に変化の少ない部位もあるものの、移動する人物においては手足の形状の変化の影響が大きいため、フィルタ処理はノード数の推定精度の向上において有効ではないことを明らかにした。

[関連資料]

  1. 動画像中の人物の移動特性検出手法 動画像中の人物の移動特性検出手法 (218 KB)

[関連発表論文]

  1. Sayaka Kuriyama, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Real-time estimation method of the number of pedestrians in video sequences,” in Proceedings of the 4th International Conference on Digital Telecommunications (ICDT 2009), pp.65-70, July 2009. [paper]
  2. 栗山さやか, “動画像中の人物の移動特性検出手法,” 大阪大学大学院情報科学研究科修士論文, Feb. 2010.
  3. 長谷川剛, 栗山さやか, 中野博隆, “景観画像を用いた通行人密度推定手法の精度向上に関する一検討,” 画像電子学会第250回研究会講演予稿, pp.137-144, Mar. 2010. [paper]

2.1.4. 動画像中の仮想ゲート通過人数推定に関する研究

開発プログラム
図:開発プログラム

近年、道路の通行量や建物、催し物会場等の入退場者数を把握するための人流計測の自動化に対する需要が高まっている。我々の研究グループでは、カメラで取得した動画像を用いて、人物が重なり合うような状況でも、人流を実時間、高精度に計測できる人流計測手法を提案している。提案手法では、まず、カメラを用いて斜め上空から対象領域を撮影し、取得した動画像中の所望の位置に直線状の仮想ゲートを設置する。次に、仮想ゲート上の各画素における背景差分をフレーム毎に計算し、差分が大きな画素を始点とするオプティカルフローを抽出する。抽出したオプティカルフローを始点が隣接する同じ向き、大きさのフロー群に分離し、事前学習により得た統計情報を用いて、分離したフロー群の大きさから、通過人数を推定する。

本研究では、提案手法の諸要素のうち、仮想ゲートにおけるオプティカルフローをブロックマッチング法に基づき抽出する手法を提案した。一般的なブロックマッチング法は、動画像中のある領域に対して、次フレームの画像中を全探索することによってフレーム間の対応点を求めるため、抽出されるオプティカルフローが多くなると、計算量が膨大になることが欠点であった。一方、本報告における提案手法では、探索範囲を仮想ゲート周辺に限定することにより、計算量を抑えることができるため、通行量が大きい場所でも、実時間処理によってオプティカルフロー抽出処理を行うことができる。また、計算量が削減されることにより、マッチング判定処理を従来手法よりも詳細に行うことができるため、高精度なオプティカルフローの抽出が可能となる。さらに、背景画像を定期的に更新することにより、撮影環境の明るさが変化した場合においても、人流計測の測定精度が低下しない。提案手法の有効性は、目視によって抽出したオプティカルフローと、提案手法によって抽出したオプティカルフローを比較することで評価した。実動画像を用いた評価の結果、提案手法を用いることにより、実時間、92%の精度でオプティカルフローの抽出が出来ることを示した。

[関連資料]

  1. 動画像中の仮想ゲート通過人数推定のためのオプティカルフロー抽出法 動画像中の仮想ゲート通過人数推定のためのオプティカルフロー抽出法 (131 KB)

[関連発表論文]

  1. 足利えりか, “動画像中の仮想ゲート通過人数推定のためのオプティカルフロー抽出法,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2010.
  2. 足利えりか, 谷口義明, 長谷川剛, 中野博隆, “動画像中の仮想ゲート通過人数推定手法に関する一検討,” 画像電子学会第250回研究会講演予稿, pp.129-136, Mar. 2010. [paper]

2.1.5. IEEE 802.16メッシュネットワークの資源割り当てにおける伝送遅延低減に関する研究

タイムスロット割り当て順序の流れの例
図:タイムスロット割り当て順序の流れの例

IEEE 802.16j標準に基づく無線マルチホップリレーネットワークは、設置や拡張が容易であるため、都市規模の無線ブロードバンド環境を提供するネットワークとして関心が集まっている。IEEE 802.16j無線マルチホップリレーネットワークは、図のように、ゲートウェイノードとリレーノードの2種類のノードで構成される。ゲートウェイノードはバックホール回線に有線で接続されたノードであり、リレーノードはゲートウェイノードを根としたツリー状に無線リンクで接続される。各リレーノードはマルチホップ通信によりゲートウェイノードと通信を行う。ユーザ端末は通信範囲に存在するリレーノードに接続することで、無線マルチホップリレーネットワークを介してバックホールネットワークを利用する。

IEEE 802.16j のMACプロトコルにおいては、電波干渉を防ぐ方法としてOrthogonal Frequency Divi-sion Multiplexing Access(OFDMA)を用い、各リンクにおける通信を時分割されたOFDM シンボルにより制御するスケジューリング方式を採用している。このスケジューリング方式では、干渉関係にあるリンクに異なるタイムスロットを割り当て、同時に送信が発生することを防ぐ。タイムスロットは一定数のOFDM シンボルにより構成された各リンクの送信機会であり、ゲートウェイノードによる集中制御により各リンクへ割り当てるタイムスロットが決定される。このとき全てのリンクが送信を行うために必要なタイムスロット数をフレーム長と呼び、フレーム長を単位とした周期を繰り返して、各リンクの通信を制御する。このような時分割方式による無線マルチホップ通信では、ゲートウェイノードと各リレーノード間でパケットを伝送する際に、経路上の各ホップでパケットが到着してからスケジューリングによってパケットが次ホップへ送信可能となるまでにスケジューリング待ち時間が発生する。また、各リレーノードのキューに送信待ちのパケットが蓄積されている場合、それらのパケットが送信可能になるまでのキューイング待ち時間が発生する。したがって、各ホップにおいてスケジューリング待ち時間やキューイング待ち時間が蓄積することによって、ユーザ端末で発生したパケットがゲートウェイノードまで到達するためにかかる伝送遅延時間が増大する可能性がある。

本研究では、フレーム長を増大させることなく、ゲートウェイノードとリレーノードとの間のデータ転送にかかる伝送遅延時間を減少させるタイムスロット割り当てアルゴリズムを提案した。提案方式は、ネットワークスループットの向上を目的としてフレーム長の低減を行う既存手法を基にし、各リンクへのタイムスロットの割り当て順序を変更することで、フレーム長を増大させることなく伝送遅延時間の低減を行う。シミュレーション及び数値計算による性能評価の結果、提案方式を用いることによって、IEEE 802.16jにおけるランダムなタイムスロット割り当て手法と比較して、トラヒック量が多い状況においても、伝送遅延時間を平均して下り通信では最大25% 程度、上り通信では最大20% 程度低減できることを示した。

[関連資料]

  1. IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおける伝送遅延時間低減のためのタイムスロット割り当て手法 IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおける伝送遅延時間低減のためのタイムスロット割り当て手法 (455 KB)

[関連発表論文]

  1. 石井倫太郎, 長谷川剛, 谷口義明, 中野博隆, “IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおけるタイムスロット割り当て手法の性能評価,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2009-88), pp.65-70, Oct. 2009. [paper]
  2. Rintaro Ishii, “Time slot assignment algorithms for reducing transmission latency in IEEE 802.16j multi-hop relay networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  3. 石井倫太郎, 長谷川剛, 谷口義明, 中野博隆, “IEEE 802.16jリレーネットワークにおけるパケット伝送遅延時間の評価,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-177), pp.199-204, Mar. 2010. [paper]
  4. Rintaro Ishii, Go Hasegawa, Yoshiaki Taniguchi, and Hirotaka Nakano, “Time slot assignment algorithms in IEEE 802.16 multi-hop relay networks,” in Proceedings of the 6th International Conference on Networking and Services (ICNS 2010), pp.265-270, Mar. 2010. [paper]

2.1.6. IEEE 802.16メッシュネットワークにおける被覆領域の改善手法に関する研究

第一近接ノードとの距離の推定法
図:第一近接ノードとの距離の推定法

IEEE802.16マルチホップリレーネットワークでは、ユーザ端末の通信品質はサービス領域の展開状況に影響を受ける。サービス領域の重複が多く発生すると電波干渉が増加し、通信品質が低下する。IEEE 802.16 では干渉関係にあるリンクに異なるタイムスロットを割り当てるTDMA 方式の通信が行われる。つまりサービス領域の重複が増加すると、通信に必要なタイムスロットの数が増加しスループットが低下する。またIEEE 802.16 では通信機会をコンテンション方式で確保することから、サービス領域の重複は衝突を増加させる要因にもなる。重複が少ないサービス領域の大きさを決定するためには、隣接するリレーノードの位置情報が重要である。しかし得られる情報量は状況によって異なる。

本研究では、まず、サービス領域を円形と仮定し、その半径(以下、サービス半径と称する)の決定する2 種類の手法を提案した。1つ目はリレーノードの位置情報が全く得られない状況を想定し、各リレーノードが単一なサービス領域を展開する手法である(以下、単一半径手法と称する)。2つ目は、トポロジに関してある程度の情報が得られる場合を想定し、それらを用いて推定した最近接のリレーノードまでの距離(以下、最近接距離と称する)に基づいてサービス半径を決定する手法である(以下、最近接手法と称する)。シミュレーションによってこれら2つの手法の性能評価を行い、提案手法によって得られる単被覆領域の最大値が、各メッシュノードが単一なサービス領域を設定した場合に比べて、平均32% 改善できること、またこのとき、サービス領域の最大重複数を平均50%削減できることを示した。

さらに、新たなサービス半径決定手法として、各リレーノードの正確な位置情報が得られる場合を想定し、リレーノードが自身のボロノイ領域中で最も遠い点との距離をサービス半径に設定する手法を提案した(以下、ボロノイ手法と称する)。さらに、各手法の性能評価をシミュレーションによって行い、サービス領域の重複状態および最大重複数に加えて、ネットワークの消費エネルギー及びフレーム長の観点から評価を行った。シミュレーション結果より、得られる情報量と性能にはトレードオフの関係があることを示した。また、ボロノイ手法が他の手法に比べて、フレーム長を大きく改善すること、また、より少ない情報を用いる最近接手法を用いた場合においても消費エネルギーやフレーム長へのノード密度の影響を低減できることを示した。

[関連資料]

  1. IEEE 802.16リレーネットワークにおけるサービス領域展開手法の性能評価 IEEE 802.16リレーネットワークにおけるサービス領域展開手法の性能評価 (677 KB)

[関連発表論文]

  1. 竹森翔一, 長谷川剛, 谷口義明, 中野博隆, “IEEE 802.16メッシュネットワークにおける物理トポロジ情報を用いた被覆領域の改善手法,”電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-8), pp.43-48, May 2009. [paper]
  2. Shoichi Takemori, Go Hasegawa, Yoshiaki Taniguchi, and Hirotaka Nakano, “Improving coverage area quality using physical topology information in IEEE 802.16 mesh networks,” in Proceedings of the 3rd International Conference on Mobile Ubiquitous Computing, Systems, Services and Technologies (UBICOMM 2009), pp.163-168, Oct. 2009. (Best Paper Award) [paper]

2.1.7. IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおけるノード位置の調整による通信性能改善に関する研究

ノードの移動範囲
図:ノードの移動範囲

IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおいて効率のよい通信を行うためには、ネットワーク内の全てのリンクが通信を行うために必要となるタイムスロット数(フレーム長)を小さくすることが重要となる。このフレーム長を小さくすることによって、各リンクの単位時間あたりの通信機会が増加し、ネットワークスループットが向上する。タイムスロット割り当てを行う際、通信量が大きいリンク同士が干渉関係となっている場合や、多数のリンク間で電波干渉が発生する場合には、電波干渉が発生するリンクには異なるタイムスロットを割り当てる必要があるため、ネットワーク内の全てのリンクが通信を行うために必要なタイムスロット数が増大し、フレーム長が大きくなる。このとき、リンク間の干渉により多数のタイムスロットが必要となるリンクを構成するリレーノードを移動させて位置の調整を行い、リンク間の干渉関係を解消、または軽減することにより、それらのリンクに異なるタイムスロットを割り当てる必要がなくなり、フレーム長が削減され、ネットワークスループットの向上が期待できる。

このようなノード位置の調整によるネットワーク通信性能の改善は、センサネットワークの分野では、ノードの再配置手法として検討されており、データ伝送率やセンサによる検知範囲、センサノードからベースステーションノードまでのホップ数などの指標を用いて、性能向上を目的とした様々なノード配置手法やノードの再配置手法が提案されている。しかし、IEEE 802.16jに基づく無線リレーネットワークを対象とした性能評価が行われた例は存在しない。そこで本研究では、IEEE 802.16j リレーネットワークにおいてリレーノードの位置を調整することが通信性能に与える影響を評価した。リレーノードの位置調整を行うための移動方法と移動条件を定義し、IEEE 802.16j に基づくネットワークモデルを用いて、様々なノード数、最大伝送距離、干渉比を持つリレーネットワークにおいてリレーノード1 ノードの位置調整を行ったときのフレーム長の変化を評価した。また、複数のリレーノードを1 ノードずつ最適な位置に移動させたときの性能改善の評価を行い、移動させたリレーノード数に対する性能改善効果を評価した。その結果、1ノードの位置調整を行うことにより最大約16%のフレーム長の削減が可能であること、また複数のリレーノードの順次位置調整を行うことにより最大22%のフレーム長の削減が可能であることを示した。

[関連資料]

  1. IEEE 802.16jリレーネットワークにおけるノード位置の調整による通信性能の改善 IEEE 802.16jリレーネットワークにおけるノード位置の調整による通信性能の改善 (421 KB)

[関連発表論文]

  1. 重藤隆文, “IEEE 802.16jリレーネットワークにおけるノード位置の調整による通信性能の改善,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2010.

2.1.8. 障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16マルチホップネットワークの性能評価に関する研究

ランダム障害物モデル
図:ランダム障害物モデル

IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおいてネットワーク全体のスループットやサービス面積などの評価を行う際には、送信ノードが伝送可能な通信範囲や近隣ノードに電波干渉を及ぼす範囲を、送信ノードを中心とした円状の範囲内と定義したネットワークモデルが従来使用されている。このモデルを用いた既存のリレーネットワークの性能評価においては、障害物の存在は想定されておらず、通信電波が障害物によって受ける影響を考慮していない。一般的に、障害物によって電波は遮断、反射、回折など様々な影響を受ける。そのため、障害物がない場合には通信可能であったノード同士の間に障害物が存在することにより通信が不可能になり、ネットワーク性能が低下することが考えられる。一方、近隣ノードから受ける電波干渉の影響が減少することにより、リレーネットワーク全体の接続関係や干渉関係が変化する。マルチホップリレーネットワークでは時分割による無線通信方式が採用されているため、接続関係及び干渉関係の変化がネットワークスループットに影響を与える。また、障害物の影響により、どのノードとも通信できない孤立ノードが発生し、リレーネットワークがユーザ端末に対して提供するサービス面積にも影響を与える。したがって、リレーネットワークの実世界における適用可能性を検討するためには、障害物の影響を考慮したリレーネットワークの性能評価を行うことが重要である。

そこで本研究では、障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16リレーネットワークの性能評価を行った。具体的には、従来、性能評価に用いられているネットワークモデルに障害物を導入し、通信電波が障害物によって遮断される影響を考慮した性能評価モデルを構築した。さらに、そのモデルを用いてシミュレーションを行うことにより、リレーネットワークのサービス面積、フレーム長、及び経路長に関する評価を行った。評価の結果、障害物数が比較的少ない場合では、サービス面積の減少幅は小さいが、ゲートウェイノードからリレーノードまでの経路長が増加すること、また、その際、リレーノードを追加することによって障害物の影響を打ち消し、少ないフレーム長の増加でサービス面積を改善できることを示した。また、大阪大学豊中キャンパスにおける建物配置を想定した環境における性能評価を行い、ランダムに障害物を配置したモデルとの比較を行うことによって、ネットワークパラメータの関連性を明らかにした。

[関連資料]

  1. 障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16マルチホップネットワークの性能評価 障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16マルチホップネットワークの性能評価 (2,046 KB)

[関連発表論文]

  1. 伊勢悠輝, “障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16jリレーネットワークの性能評価,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2010.

2.1.9. IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおける低遅延な映像データ収集のためのタイムスロット割り当てに関する研究

高度化ストリートビュー
図:高度化ストリートビュー

Google社のストリートビューは、Googleマップに新しく追加された機能で、事前に車の上につけたカメラで撮影、蓄積しておいた画像を配信する事で、従来の上空視点の地図、写真だけでなく、その場の人間目線の景観を閲覧する事を可能としている。これに対して、本研究では、現在の画像や動画像を配信する高度化ストリートビューを検討している。高度化ストリートビューでは、電柱、街灯などに装着されたネットワークカメラの撮影した映像は、無線ネットワークを介してデータセンターに収集、蓄積された後、ユーザへと配信される。高度化ストリートビューが実現されることで、犯人追跡や行動予測に役立てる(セキュリティ)、人や車の渋滞情報を調べカーナビゲーションでの誘導情報に活かし交通渋滞を避ける(ヒューマンナビゲーション)、自然系を長期間・継続的に撮影する事で、地球温暖化などの影響を調べる(環境データマイニング)、といった映像を利用した高度なサービスの実現も可能になると期待される。

高度化ストリートビューを実現するにあたっては多くの課題があるが、本研究では、特に、ネットワークカメラからデータセンターへ映像を収集する方式について検討する。本研究では、ネットワークカメラからデータセンターへの映像の転送には、IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークの利用を想定する。ネットワークカメラから映像データを効率よく収集し、また、アクセスが集中するようなカメラからは優先して映像データを収集する方式を検討する。

[関連資料]

  1. IEEE 802.16jを用いたカメラネットワークにおける低遅延な映像データ収集のためのタイムスロット割当手法 IEEE 802.16jを用いたカメラネットワークにおける低遅延な映像データ収集のためのタイムスロット割当手法 (253 KB)

2.1.10. 信号対干渉比に基づく無線伝送モデルの構築と従来モデルとの比較に関する研究

簡易干渉モデルとSNRモデル
図:簡易干渉モデルとSNRモデル

無線マルチホップリレーネットワークの研究においては従来、通信ノードの電波干渉を、該当ノードを中心とした同心円状に定義する、簡易干渉モデルが用いられてきた。簡易干渉モデルを用いることにより、グラフ理論で得られている多く知見をマルチホップリレーネットワークの制御に応用できる、という利点があるが、簡易干渉モデルは障害物や電波特性などの影響によって発生するフェージングやキャプチャ効果などの詳細な電波干渉状況を考慮することができない。一方、信号対干渉比(SNR: Signal Noise Ratio) に基づく電波干渉モデル(以下、SNR モデル)ではこれらの電波の特性を表現することができるが、簡易干渉モデルで行った解析手法が適用できないという問題がある。

そこで、本研究では、SNRモデルと簡易干渉モデルを適切に組み合わせ、SNRモデルにもとづく詳細な電波干渉状況を考慮しつつ、従来の解析手法を利用することのできる、新しい干渉モデルを提案する。また、提案干渉モデルにもとづきマルチホップリレーネットワークの構築を行った場合の性能を評価し、従来の簡易干渉モデルを用いた場合との、性能の比較評価を行う。

[関連資料]

  1. 信号対干渉比に基づく無線伝送モデル構築と従来モデルとの比較 信号対干渉比に基づく無線伝送モデル構築と従来モデルとの比較 (160 KB)

2.2. 次世代情報ネットワークのためのトランスポートアーキテクチャに関する研究

エンドホスト間でデータを高速に、かつ効率よく転送するための中心技術がトランスポートプロトコルである。特にインターネットで用いられているTCPでは、エンドホストがネットワークの輻輳状態を自律的に検知して転送率を決定している。これは、インターネットの基本思想であるEnd-to-end princi-pleの核になっているものであるが、エンドホストの高速化により、その適応性をより高度なものにできる可能性が十分にある。また、ネットワーク内ルータでは、エンドホストの適応性を前提とした制御を考えていく必要があるが、それが実現されれば、自律性、適応性に富んだ高機能ネットワークの可能性も見えてくる。本研究テーマでは、そのようなトランスポートプロトコルに関する研究に取り組んでいる。また、IPネットワーク上において特定のサービスを提供するためのオーバレイネットワークにおけるトランスポートアーキテクチャや、オーバレイネットワークの浸透にともなって発生すると考えられる諸問題に関する研究などにも取り組んでいる。

2.2.1. オーバレイルーティングによって増加するISP間トランジットコストの削減に関する研究

トランジットコストの増大
図:トランジットコストの増大

オーバレイルーティングはオーバレイネットワークを用いたアプリケーション層で動作する経路制御技術であり、遅延時間や利用可能帯域などの指標を用いて経路を選択することで、ユーザが体感できる性能が向上することが知られている。一方で、IP 層で行なわれる経路制御とのポリシの違いにより、ISP のコスト構造に悪影響を与えることが考えられる。ISP によって提供される IP ルーティングは、一般に隣接 ISP とのリンクの使用にかかる金銭的コストを考慮して制御されている。対してオーバレイルーティングではエンド間の性能向上を目的として経路が選択されるため、オーバレイルーティングの利用によって通過するトランジットリンク数が増加し、ISP のトランジットコストが増大することが考えられる。

この問題に対する解決策としては、オーバレイルーティングが ISP 間のトランジットコストが増加する経路を選択することを制限する手法が考えられる。本研究では、オーバレイルーティングによって増加する ISP 間のトランジットコストを削減する手法を提案した。提案手法では、経路上のトランジットリンク数をトランジットコストの指標とし、オーバレイルーティングによる性能向上を維持しつつ、トランジットコストを抑える経路を選択する。しかし、経路上のトランジットリンク数は一般には公開されておらず、また、エンド間で容易に計測する手法が存在しないため、本論文では経路上のトランジットリンク数をオーバレイノードが容易に計測できるエンド間ネットワーク性能から重回帰分析を用いて推定する手法を確立した。

提案手法の有効性を評価するため、重回帰分析により導出した推定式の精度を評価したのち、提案手法によって経路上のトランジットリンク数を制限したオーバレイルーティングの性能を評価した。実ネットワークの計測データを用いた評価により、推定式によるトランジットリンク数の過小推定が 80% のノードで 1 以下であり、また、提案手法を用いたオーバレイルーティングが、通過するトランジットリンクの数を削減しつつ、トランジットリンクの制限を行わない場合のオーバレイルーティングと同等の性能向上を得られていることを示した。

[関連資料]

  1. オーバーレイルーティングにおけるただ乗りを制限する手法の提案 オーバーレイルーティングにおけるただ乗りを制限する手法の提案 (352 KB)

[関連発表論文]

  1. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Effectiveness of overlay routing based on delay and bandwidth information,” IEICE Transactions on Communications, vol.E92-B, no.4, pp.1222-1232, Apr. 2009. [paper]
  2. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Evaluation of free-riding traffic problem in overlay routing and its mitigation method,” in Proceedings of the 5th International Conference on Networking and Services (ICNS 2009), pp.210-215, Apr. 2009. [paper]
  3. 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークにおける経路制御とISPへの影響,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-15), pp.17-22, June 2009. (招待講演) [paper]
  4. 松田一仁, 長谷川剛, 村田正幸, “ISPコストを削減するための重回帰分析に基づくオーバレイルーティング手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2009-25), pp.67-72, July 2009. [paper]
  5. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Evaluation of free-riding traffic problem in overlay routing and its mitigation method,” IEICE Transactions on Communications, vol.E92-B, no.12, pp.3774-3783, Dec. 2009. (Best Paper Award) [paper]
  6. Kazuhito Matsuda, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Decreasing ISP transit cost in overlay routing based on multiple regression analysis,” in Proceedings of the International Conference on Information Networking 2010 (ICOIN 2010), Jan. 2010.
  7. Kazuhito Matsuda, “A study on reduction of inter-ISP transit cost caused by overlay routing,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.

2.2.2. 大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバレイルーティング手法関する研究

オーバレイネットワークにおける複数同時障害
図:オーバレイネットワークにおける複数同時障害

地震、風水害、テロなどの大規模災害に対するコンピュータネットワークの対策に関しては未だ体系的に議論されておらず、災害発生時においてもネットワークの十分な信頼性を確保することは難しい。通常、高信頼なネットワークは冗長性に優れた構成を組むことにより実現されるが、インターネットにおけるIPルーティングプロトコルでの転送経路切替方法では短時間での切替は困難である。また、IP層の機能強化を行う場合にも、共通基盤に新しい機能を付加することにより、それに付随する制御が種々派生し、その複雑さによってアーキテクチャの破綻を招く恐れがある。

そこで本研究では、オーバレイネットワークを用いたトラヒックルーティング技術を用いることで、大規模災害等によってIPネットワークに大きな障害が発生した際に、従来のBGPによるAS間ルーティングでは到達不可能となるAS間通信の大部分を短時間で復旧することが可能となる、オーバレイルーティング手法を提案した。具体的には、オーバレイノードの設置場所、情報交換手法、ASの参加・離脱手法等の検討を行い、小さい通信オーバヘッドでより多くのASが参加可能となるオーバレイネットワーク構築手法を提案した。提案手法の有効性は、CAIDAがBGPトラヒックの計測を行い公開しているASネットワークトポロジを用いて検証し、提案手法がオーバレイノード間の情報交換量を従来手法に比べて1/10-1/1000程度に削減できること、および大規模ネットワーク障害に対して、高いネットワーク接続性を維持し、BGPに比べて短時間で代替経路を発見することができることを示した。

さらに本研究では、オーバレイネットワークの経路重複が原因となり、アンダーレイネットワークの少数リンクの障害が、オーバレイネットワークにおける大規模同時障害を引き起こす問題に着目し、上記手法をそのような同時発生障害に対応させるための障害用トポロジ構築手法を提案した。提案手法は、それぞれのオーバレイノードが、自身を含む障害に対応するトポロジを作成し、それらを適宜集約することによって、1つのトポロジ群を構築する。数値計算による性能評価の結果、アンダーレイネットワーク全体の25%のリンク障害発生時に、経路長をほとんど増加させることなく、到達性を51%から97%に回復できることがわかった。

[関連発表論文]

  1. Takuro Horie, Go Hasegawa, Satoshi Kamei, and Masayuki Murata, “A new method of proactive recovery mechanism for large-scale network failures,” in Proceedings of the IEEE 23rd International Conference on Advanced Information Networking and Applications (AINA-09), pp.951-958, May 2009. [paper]
  2. Takuro Horie, Go Hasegawa, Satoshi Kamei, and Masayuki Murata, “On network traffic concentration and updating interval for proactive recovery method against large-scale network failures,” in Proceedings of the 2009 Australasian Telecommunications Networks and Applications Conference (ATNAC 2009), Nov. 2009. [paper]
  3. 堀江拓郎, 長谷川剛, 亀井聡, 村田正幸, “大規模障害に適用可能なプロアクティブ型回復手法の性能評価,” 電子情報通信学会第7回QoSワークショップ (QW7-P-07), pp.28-29, Nov. 2009. (優秀ポスター賞) [paper]
  4. Takuro Horie, “Proactive recovery from multiple failures utilizing overlay networking technique,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  5. 堀江拓郎, 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークのためのプロアクティブ型ネットワーク障害回復手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-152), pp.49-54, Mar. 2010. [paper]

2.2.3. オーバレイネットワークにおけるネットワーク性能計測手法に関する研究

計測統合手法
図:計測統合手法

オーバレイネットワークはIP ネットワーク上に論理的に構築されたネットワークであるため、性能の維持、向上のためには定期的にオーバレイパスの資源情報を計測によって得る必要がある。オーバレイネットワークの構築に必要な情報を得る手法は数多く提案されているが、その多くは小規模なオーバレイネットワークを対象としており、全てのオーバレイノード間の経路を計測する手法である。このような手法ではオーバレイノード数の2乗の計測コストが必要であり、オーバレイノード数が増加した場合には計測に必要なコストの増加が問題となる。 本研究においては、オーバレイネットワークのオーバレイノード密度に着目し、密度に対してスケーラブルなネットワーク計測手法の検討を行った。具体的には、複数のオーバレイ経路がIP パスを共有する状態を分類し、それぞれの共有状態に対して求められるネットワーク計測手法について検討した。次に、IP パスの共有を知ることができるオーバレイ経路の計測に関して、計測精度を低下させることなく、オーバレイネットワーク全体での計測回数を削減する手法を提案した。

上記手法は、一方のオーバレイパスが他方のオーバレイパスに完全に含まれる場合においてのみ有効であり、個々のオーバレイノードが行う計測のみでは検出できない経路共有には適用することができない。そこで、本研究ではさらに、IP パスの共有を知ることができないオーバレイ経路の計測に関して、IP パスを共有しているオーバレイ経路数を推定することによって計測周期を制御する手法を提案した。具体的には、各オーバレイパスの計測タイミングをランダムに設定し、計測頻度を、経路重複の度合に応じて設定する。これにより、自律分散的な手法によって計測競合を確率的に回避することができる。複数のネットワークトポロジを用いた性能評価により、IP パスを共有しているオーバレイ経路数は、オーバレイノード密度に大きく依存することを示した。また、提案手法が計測失敗回数を抑えつつ、特にルータレベルホップ数の小さなオーバレイパスの成功回数を増加させることができることが明らかとなった。

[関連発表論文]

  1. Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Scalable and density-aware measurement strategies for overlay networks,” in Proceedings of the 4th International Conference on Internet Monitoring and Protection (ICIMP 2009), pp.21-26, May 2009. [paper]
  2. 長谷川剛, 村田正幸, “オーバーレイ網におけるネットワーク計測競合の確率的回避手法,” 電子情報通信学会2009ソサイエティ大会講演論文集 (B-11-8), Sep. 2009.
  3. 長谷川剛, 村田正幸, “確率的手法に基づくオーバレイネットワーク計測の競合軽減,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2009-39), pp.25-30, Jan. 2010. [paper]

2.2.4. 無線LAN環境における遅延に基づく輻輳制御を用いたTCPの性能評価

実験ネットワーク環境
図:実験ネットワーク環境

IEEE802.11に基づく無線LANにおいては、CSMA/CA により無線LAN 内の各端末が無線媒体にアクセスする機会は等しいため、端末間のMAC レベルにおける公平性は確保される。しかし、アクセスポイントから無線端末への通信は1 台のアクセスポイントによる通信であるのに対し、その逆向きの通信は複数台の無線端末による通信であるため、アクセスポイントから無線端末への通信とその逆向きの通信ではアクセス機会に不均等が生じる。これは、CSMA/CA によって実現されるMAC レベルにおける端末間の公平性が上位レイヤにおける公平性に直接つながらないことを意味している。このことは、トランスポート層としてTCPを用いた場合には大きな問題となり、上りフロー間、および上りフローと下りフロー間に深刻な不公平が発生することが指摘されている。

そこで本研究では、不公平性を改善するための手法として、ACKパケットの損失に対して輻輳制御を行う手法を提案し、その有効性をシミュレーションおよび実装実験によって検証した。その結果、提案手法が上りフロー間の不公平に対して有効であるだけではなく、上下フロー間の不公平に関しても一定の改善を行うことができることがわかった。

上記のようなフロー間の公平性に関する検討においては、公平性の定義が重要となる。従来の公平性の定義では、無線LAN内の競合するフローが獲得する無線帯域を等しく獲得することを公平であるとしていた。しかし、無線LAN 環境における公平性を改善する手法は、公平性を改善する一方でネットワークスループットが低下することがある。そのため、ネットワークスループットが高ければ公平性が損なわれても許容できるのか、あるいは逆に、公平性が高ければスループットは損なわれても許容できるか、といった、スループットと公平性との間のトレードオフの議論が必要である。しかし、従来指標ではこのトレードオフ関係を評価することができない。このため、無線LAN 環境における公平性の評価の際には無線帯域の利用効率を含めた新しい指標が必要である。

そこで本研究では、ネットワーク帯域の利用効率を考慮した新しい公平性指標を提案した。提案指標はJainのFairness Indexを基とし、ネットワーク帯域の利用効率が指標に反映されるように改良行った。さらに、上述の公平性改善手法を、提案した指標を用いて評価を行った結果、提案手法が公平性とネットワーク帯域間のトレードオフ関係を大幅に改善できることを明らかにした。

[関連資料]

  1. 無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善のための輻輳制御手法 無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善のための輻輳制御手法 (279 KB)

[関連発表論文]

  1. 長谷川剛, 村田正幸, “無線ネットワーク環境に適したトランスポート層プロトコル,” 電子情報通信学会技術研究報告 (CQ2009-20), pp.29-34, July 2009. (特別講演) [paper]
  2. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善手法の実験評価と評価指標の提案,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2009-126), pp.33-38, Dec. 2009. [paper]
  3. Masafumi Hashimoto, “Congestion control mechanisms for alleviating TCP unfairness in wireless LAN environment,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.

2.2.5. インターネットにおける輻輳制御機構の環境変動への耐性向上

ノイズの付与による性能向上
図:ノイズの付与による性能向上

われわれは、インライン計測技術を用いて帯域に関する情報を取得し、その情報を用いてウィンドウサイズ制御を行うことによって、従来のTCP Renoにおける問題を本質的に改善するための新たなTCPの輻輳制御方式を提案している。

ウィンドウサイズ制御のアルゴリズムは、帯域に関する情報を用いることによってウィンドウサイズを適切な値にすばやく調節すること、および他のコネクションが競合する際に公平に帯域を分配できることを目的として設計する必要がある。そのために、数理生態学において生物の個体数の変化を表すモデルとして有名なロジスティック増殖モデル、およびロトカ・ヴォルテラ競争モデルを適用した。これらのモデルをTCPのウィンドウサイズ制御へ適用するために、生物の個体数をデータ転送速度に、個体数の収束値である環境容量を物理帯域に、および種間の競争を同一リンク上の複数コネクションの競合にそれぞれ変換する。

このような計測結果に基づく輻輳制御方式の性能が、利用可能帯域などの計測精度やネットワーク環境の変動に大きく影響を受けることに着目した。そこで、その改善方法として、計測した利用可能帯域の変動の大きさに応じて動的にパラメータを設定する方法、および意図的にノイズを加えてウィンドウサイズを振動させることにより、環境変動に対応する方法を提案した。これらにより、提案手法の基本的な性質を変えることなく、利用可能帯域の計測に含まれうる誤差や環境変動の影響を緩和できることを明らかにした。

[関連発表論文]

  1. Mizuho Kodama, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Bandwidth-based congestion control for TCP: measurement noise-aware parameter settings and self-induced oscillation,” in Proceedings of the 2nd International Workshop on the Network of the Future (Future-Network'09), June 2009. [paper]

2.2.6. トランスポートプロトコルの改良によるシンクライアントシステムの性能向上に関する研究

シンクライアントシステム
図:シンクライアントシステム

シンクライアントシステムとは、クライアントからキーボード・マウスイベントを送信し、サーバから処理結果の画面情報を受信するシステムを指し、そのトラヒックは、文字情報に相当するインタラクティブな特性のトラヒックと、ウィンドウなどの画面情報に相当するバルク転送的な特性のトラヒックに大別できる。本研究においては、前者に対してパケットロスへの耐性向上を課題として、データパケットの複製同時送信を提案し、後者に対しては、スループットの向上を課題として、TCPのスロースタート再スタート(SSR)の影響を評価するとともに、データセグメントの再構成手法に関する検討を行った。

提案方式の有効性を評価するために、実システムから抽出したトラヒックを用いてシミュレーションを行い、インタラクティブデータフローの遅延の要因は、ボトルネックリンクに接続するルータでのキューイング遅延と、サーバのTCP送信バッファにおける遅延であることを示した。次に、インタラクティブデータフローの優先制御を行うとともに、TCP SACKオプションを利用した場合は、平均遅延時間は改善されるが、数秒の遅延が発生することを示した。さらに、その改善のため、TCPの再送タイムアウト値計算の修正と、TCP SACKオプションの一時的停止を提案し、数秒の遅延が解消されることを示した。

[関連発表論文]

  1. Yukio Ogawa, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “A transport layer approach for improving interactive user experience on thin clients,” in Proceedings of the 2009 Australasian Telecommunications Networks and Applications Conference (ATNAC 2009), Nov. 2009. [paper]

2.2.7. 電力消費を考慮した広域分散コンピューティング環境に関する研究

分散コンピューティング環境モデル
図:分散コンピューティング環境モデル

大規模データセンタへの情報システムの集約が進むと、より大量のデータが広域ネットワークを介して送受信され、データ転送に費やされるエネルギーが増加する。これに対し、トラヒック削減・局所化機能をもつサーバをネットワーク上に分散配置することで、システム全体での省電力化が可能になる。本研究においては、アプリケーション、発生するトラヒック、およびデータ転送を行うためのネットワークを含めたシステム全体のモデルを構築した。また、ルータおよびサーバの電力消費モデルを作成し、システムの電力消費量を定式化する。さらに、分散サーバを設置し転送トラヒックを削減したときの電力消費削減量を評価する。評価の結果、分散サーバ設置数の増加に伴い電力消費量は最大で約20%減少するが、一定台数を超えると、トラヒック削減による電力消費の減少より分散サーバの追加に伴う電力消費の増加の方が大きいため、全体として増加傾向に転じることを明らかにした。

[関連発表論文]

  1. 小川祐紀雄, 長谷川剛, 村田正幸, 西村信治, “広域分散コンピューティング環境における電力消費を考慮した性能評価手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-172), pp.169-174, Mar. 2010. [paper]

3. 発表論文一覧

3.1. 学術論文誌

  1. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Effectiveness of overlay routing based on delay and bandwidth information,” IEICE Transactions on Communications, vol.E92-B, no.4, pp.1222-1232, Apr. 2009. [paper]
  2. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Evaluation of free-riding traffic problem in overlay routing and its mitigation method,” IEICE Transactions on Communications, vol.E92-B, no.12, pp.3774-3783, Dec. 2009. (Best Paper Award) [paper]
  3. Hiroshi Tokito, Masahiro Sasabe, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Load-balanced and interference-aware spanning tree construction algorithm for TDMA-based wireless mesh networks,” IEICE Transactions on Communications, vol.E93-B, no.1, pp.99-110, Jan. 2010. [paper]

3.2. 国際会議会議録

  1. Yoshiaki Taniguchi, Tomoya Kitani, and Kenji Leibnitz, “An airdrop deployment method for sensor nodes with coordinated gliding and falling,” in Proceedings of the Workshop on Sensor Networks for Earth and Space Science Applications (ESSA 2009), pp.48-48, Apr. 2009.
  2. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Evaluation of free-riding traffic problem in overlay routing and its mitigation method,” in Proceedings of the 5th International Conference on Networking and Services (ICNS 2009), pp.210-215, Apr. 2009. [paper]
  3. Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Scalable and density-aware measurement strategies for overlay networks,” in Proceedings of the 4th International Conference on Internet Monitoring and Protection (ICIMP 2009), pp.21-26, May 2009. [paper]
  4. Takuro Horie, Go Hasegawa, Satoshi Kamei, and Masayuki Murata, “A new method of proactive recovery mechanism for large-scale network failures,” in Proceedings of the IEEE 23rd International Conference on Advanced Information Networking and Applications (AINA-09), pp.951-958, May 2009. [paper]
  5. Mizuho Kodama, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Bandwidth-based congestion control for TCP: measurement noise-aware parameter settings and self-induced oscillation,” in Proceedings of the 2nd International Workshop on the Network of the Future (Future-Network'09), June 2009. [paper]
  6. Sayaka Kuriyama, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Real-time estimation method of the number of pedestrians in video sequences,” in Proceedings of the 4th International Conference on Digital Telecommunications (ICDT 2009), pp.65-70, July 2009. [paper]
  7. Shoichi Takemori, Go Hasegawa, Yoshiaki Taniguchi, and Hirotaka Nakano, “Improving coverage area quality using physical topology information in IEEE 802.16 mesh networks,” in Proceedings of the 3rd International Conference on Mobile Ubiquitous Computing, Systems, Services and Technologies (UBICOMM 2009), pp.163-168, Oct. 2009. (Best Paper Award) [paper]
  8. Takuro Horie, Go Hasegawa, Satoshi Kamei, and Masayuki Murata, “On network traffic concentration and updating interval for proactive recovery method against large-scale network failures,” in Proceedings of the 2009 Australasian Telecommunications Networks and Applications Conference (ATNAC 2009), Nov. 2009. [paper]
  9. Yukio Ogawa, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “A transport layer approach for improving interactive user experience on thin clients,” in Proceedings of the 2009 Australasian Telecommunications Networks and Applications Conference (ATNAC 2009), Nov. 2009. [paper]
  10. Masakazu Murata, Yoshiaki Taniguchi, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Improvement and evaluation of scenario-type hypothesis object tracking,” in Proceedings of the 2nd International Workshop on Sensor Networks and Ambient Intelligence (SeNAmI 2009), Dec. 2009. [paper]
  11. Kazuhito Matsuda, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Decreasing ISP transit cost in overlay routing based on multiple regression analysis,” in Proceedings of the International Conference on Information Networking 2010 (ICOIN 2010), Jan. 2010.
  12. Masakazu Murata, Yoshiaki Taniguchi, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “An object tracking method based on Scenario-type Hypothesis Tracking in segmented multiple regions,” in Proceedings of the 6th International Conference on Networking and Services (ICNS 2010), pp.200-205, Mar. 2010. [paper]
  13. Rintaro Ishii, Go Hasegawa, Yoshiaki Taniguchi, and Hirotaka Nakano, “Time slot assignment algorithms in IEEE 802.16 multi-hop relay networks,” in Proceedings of the 6th International Conference on Networking and Services (ICNS 2010), pp.265-270, Mar. 2010. [paper]

3.3. 口頭発表(国内研究会など)

  1. 竹森翔一, 長谷川剛, 谷口義明, 中野博隆, “IEEE 802.16メッシュネットワークにおける物理トポロジ情報を用いた被覆領域の改善手法,”電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-8), pp.43-48, May 2009. [paper]
  2. 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークにおける経路制御とISPへの影響,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-15), pp.17-22, June 2009. (招待講演) [paper]
  3. 長谷川剛, 村田正幸, “無線ネットワーク環境に適したトランスポート層プロトコル,” 電子情報通信学会技術研究報告 (CQ2009-20), pp.29-34, July 2009. (特別講演) [paper]
  4. 松田一仁, 長谷川剛, 村田正幸, “ISPコストを削減するための重回帰分析に基づくオーバレイルーティング手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2009-25), pp.67-72, July 2009. [paper]
  5. 長谷川剛, 村田正幸, “オーバーレイ網におけるネットワーク計測競合の確率的回避手法,” 電子情報通信学会2009ソサイエティ大会講演論文集 (B-11-8), Sep. 2009.
  6. 堀江拓郎, 長谷川剛, 村田正幸, “プロアクティブ型ネットワーク障害回復手法の性能評価,” インターネット技術第163委員会技術研究報告, vol.47, pp.3-6, Sep. 2009.
  7. 松田一仁, 長谷川剛, 村田正幸, “ISPコストを削減するためのオーバレイルーティング手法の提案,” インターネット技術第163委員会技術研究報告, vol.47, pp.7-9, Sep. 2009.
  8. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善手法の実験評価,” インターネット技術第163委員会技術研究報告, vol.47, pp.45-47, Sep. 2009.
  9. Go Hasegawa, “An overlay network approach with adaptive and failure-tolerant quality control for realizing dynamic networks,” the 2nd Japan EU Symposium on the "New Generation Network" and the "Future Internet", Oct. 2009.
  10. 村田将一, 谷口義明, 長谷川剛, 中野博隆, “領域分割を用いたシナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡手法の提案,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2009-87), pp.59-64, Oct. 2009. [paper]
  11. 石井倫太郎, 長谷川剛, 谷口義明, 中野博隆, “IEEE 802.16マルチホップリレーネットワークにおけるタイムスロット割り当て手法の性能評価,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2009-88), pp.65-70, Oct. 2009. [paper]
  12. 谷口義明, 合田幸裕, 長谷川剛, 中野博隆, “複数のバイナリセンサを組み合わせた複眼センサによるオブジェクトの移動特性検出,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-71), pp.17-22, Nov. 2009. [paper]
  13. 堀江拓郎, 長谷川剛, 亀井聡, 村田正幸, “大規模障害に適用可能なプロアクティブ型回復手法の性能評価,” 電子情報通信学会第7回QoSワークショップ (QW7-P-07), pp.28-29, Nov. 2009. (優秀ポスター賞) [paper]
  14. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善手法の実験評価と評価指標の提案,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2009-126), pp.33-38, Dec. 2009. [paper]
  15. 長谷川剛, 村田正幸, “確率的手法に基づくオーバレイネットワーク計測の競合軽減,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2009-39), pp.25-30, Jan. 2010. [paper]
  16. 堀江拓郎, 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークのためのプロアクティブ型ネットワーク障害回復手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-152), pp.49-54, Mar. 2010. [paper]
  17. 村田将一, 谷口義明, 長谷川剛, 中野博隆, “シナリオ型仮説方式に基づくオブジェクト追跡手法における仮説処理の改良と情報損失への対応,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-170), pp.157-162, Mar. 2010. [paper]
  18. 小川祐紀雄, 長谷川剛, 村田正幸, 西村信治, “広域分散コンピューティング環境における電力消費を考慮した性能評価手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-172), pp.169-174, Mar. 2010. [paper]
  19. 石井倫太郎, 長谷川剛, 谷口義明, 中野博隆, “IEEE 802.16jリレーネットワークにおけるパケット伝送遅延時間の評価,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2009-177), pp.199-204, Mar. 2010. [paper]
  20. 足利えりか, 谷口義明, 長谷川剛, 中野博隆, “動画像中の仮想ゲート通過人数推定手法に関する一検討,” 画像電子学会第250回研究会講演予稿, pp.129-136, Mar. 2010. [paper]
  21. 長谷川剛, 栗山さやか, 中野博隆, “景観画像を用いた通行人密度推定手法の精度向上に関する一検討,” 画像電子学会第250回研究会講演予稿, pp.137-144, Mar. 2010. [paper]

3.4. 博士論文・修士論文・特別研究報告

3.4.1. 博士論文

(該当なし)

3.4.2. 修士論文

  1. Rintaro Ishii, “Time slot assignment algorithms for reducing transmission latency in IEEE 802.16j multi-hop relay networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  2. 栗山さやか, “動画像中の人物の移動特性検出手法,” 大阪大学大学院情報科学研究科修士論文, Feb. 2010.
  3. Masafumi Hashimoto, “Congestion control mechanisms for alleviating TCP unfairness in wireless LAN environment,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  4. Takuro Horie, “Proactive recovery from multiple failures utilizing overlay networking technique,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  5. Kazuhito Matsuda, “A study on reduction of inter-ISP transit cost caused by overlay routing,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.
  6. Masakazu Murata, “Scenario-type hypothesis object tracking with indoor sensor networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2010.

3.4.3. 特別研究報告

  1. 足利えりか, “動画像中の仮想ゲート通過人数推定のためのオプティカルフロー抽出法,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2010.
  2. 伊勢悠輝, “障害物が電波伝搬に与える影響を考慮したIEEE 802.16jリレーネットワークの性能評価,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2010.
  3. 重藤隆文, “IEEE 802.16jリレーネットワークにおけるノード位置の調整による通信性能の改善,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2010.