大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門
(大阪大学大学院情報科学研究科ユビキタスネットワーク講座)
2008年度研究成果報告

本Webページは大阪大学サイバーメディアセンター先端ネットワーク環境研究部門(大阪大学大学院情報科学研究科ユビキタスネットワーク講座,中野研究室)の2008年度の研究成果をまとめた報告書です.ご清覧いただき,忌憚のない意見を下されば幸いです.

目次

  1. メンバー
    1. スタッフ
    2. 共同研究者
    3. 学生
  2. 研究業績
    1. ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究
      1. 複数の二値センサを用いたオブジェクトの移動特性検出に関する研究
      2. オブジェクト追跡における統計情報の取得と引継ぎに関する研究
      3. 映像情報を用いたモバイルノード属性情報の抽出手法の研究
      4. TDMA型無線メッシュネットワークにおけるスパニングツリー構築法に関する研究
      5. TDMA型無線メッシュネットワークにおけるメッシュノードの電力制御手法に関する研究
      6. IEEE 802.16メッシュネットワークの資源割り当てにおける伝送遅延低減の研究
      7. IEEE 802.16メッシュネットワークにおける被覆領域の改善手法に関する研究
      8. ユビキタス環境実現のための無線メッシュネットワークによる情報収集方式の性能評価
    2. 次世代情報ネットワークのためのトランスポートアーキテクチャに関する研究
      1. オーバレイネットワークにおける計測オーバヘッドの削減に関する研究
      2. オーバレイルーティングに起因するネットワークただ乗り問題に関する研究
      3. 資源探索範囲を考慮したP4Pネットワークの性能評価に関する研究
      4. 大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバレイルーティング手法関する研究
      5. 無線LAN環境における遅延に基づく輻輳制御を用いたTCPの性能評価
      6. インラインネットワーク計測技術に関する研究
      7. インラインネットワーク計測技術を利用した新たなTCPサービスに関する研究
      8. インターネットにおける輻輳制御機構の環境変動への耐性向上
      9. インターネットルータのバッファサイズに関する研究
      10. トランスポートプロトコルの改良によるシンクライアントシステムの性能向上に関する研究
    3. P2Pアーキテクチャに関する研究
      1. ノードのモビリティを考慮したモバイルP2Pネットワークの構築
    4. センサネットワークに関する研究
      1. センシング要求に適応的なセンサ情報収集機構の研究
      2. センサ端末の空中散布に関する研究
      3. データ集約の性能解析モデルに関する研究
  3. 発表論文一覧
    1. 学術論文誌
    2. 国際会議会議録
    3. 口頭発表
    4. 博士論文・修士論文・特別研究報告
      1. 博士論文
      2. 修士論文
      3. 特別研究報告

1. メンバー

1.1. スタッフ

中野 博隆
中野 博隆
教授
長谷川 剛
長谷川 剛
准教授
谷口 義明
谷口 義明
助教
(2008.10着任)
稲鍵 多圭子
稲鍵 多圭子
秘書

1.2. 共同研究者

村田 正幸
村田 正幸
大阪大学
情報科学研究科
教授
笹部 昌弘
笹部 昌弘
大阪大学
工学研究科
助教

1.3. 学生

倉掛 正治
倉掛 正治
博士後期課程1年
時任 宏
時任 宏
博士前期課程2年
児玉 瑞穂
児玉 瑞穂
博士前期課程2年
秀熊 俊昭
秀熊 俊昭
博士前期課程2年
石井 倫太郎
石井 倫太郎
博士前期課程1年
栗山 さやか
栗山 さやか
博士前期課程1年
橋本 匡史
橋本 匡史
博士前期課程1年
堀江 拓郎
堀江 拓郎
博士前期課程1年
松田 一仁
松田 一仁
博士前期課程1年
村田 将一
村田 将一
博士前期課程1年
相地 宏樹
相地 宏樹
学部4年
竹森 翔一
竹森 翔一
学部4年
森 弘樹
森 弘樹
学部4年
野田 健
野田 健
学部4年
合田 幸裕
合田 幸裕
学部4年

2. 研究業績

2.1. ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究

諸技術発展を受けて,あらゆるものが独自の識別子とコンピュータを持ちワイアレスリンクで接続されるユビキタスコンピューティング環境が新しいパラダイムとして想定されている.このような背景を踏まえ,「ユビキタスネットワーク環境における通信方式の研究」を継続している.この研究では,ユビキタスネットワーク環境下の様々なアプリケーションに適用する通信方式を提案し,その特性を明らかにしていく.

2.1.1. 複数の二値センサを用いたオブジェクトの移動特性検出に関する研究

二値センサ
図:二値センサを持つ端末例

場所を選ばずに誰でも気軽に情報を得ることができ,遠く離れた場所からネットワークを介して目的の作業を行うことができるユビキタス社会を実現する上で,特定の場所における人や自動車といった動体(オブジェクト)を追跡する技術は重要である.特に,センシング範囲内にオブジェクトが存在するか否かを0と1の二値データで検出できる二値センサは比較的安価に導入可能であり,また,消費電力も小さいことから,無線通信機能と二値センサを有する端末を多数用いて大規模なセンサネットワークを構築し,交通量の調査や移動軌跡データ収集などに応用することが期待されている.しかしながら,二値センサはオブジェクトの存在の有無しか検出することができず,センシング範囲内に侵入したオブジェクトの個数や移動方向などを検出することができないため,単純に二値センサを有する端末を複数用いて構築したセンサネットワークでは追跡精度に限界がある.

本研究では,単純な二値センサの代わりに複数の二値センサを少しずつずらして配置した擬似複眼センサを考える.擬似複眼センサでは,それぞれの二値センサのセンシング領域の違いから,移動速度や移動方向などのオブジェクトの移動特性を抽出でき,その特性を利用することでオブジェクトの追跡精度向上を図ることが出来ると考えられる.また,端末に比べ二値センサのコストは低いため,二値センサを有する端末の導入コストと同程度のコストで擬似複眼センサを有する端末を導入できると考えられる.本研究では,オブジェクトの移動特性のうち特にオブジェクトの移動方向を検出することに着目し,擬似複眼センサのセンシング領域に侵入したオブジェクトの移動方向検出手法を提案した.また,シミュレーションにより,擬似複眼センサの有効性と,擬似複眼センサの方向検出精度の基本的特性を評価した.

[関連発表論文]

  1. 合田幸裕, “複数の二値センサを用いたオブジェクトの移動特性検出,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.

2.1.2. オブジェクト追跡における統計情報の取得と引継ぎに関する研究

マイクロセル内のオブジェクトの移動
図:マイクロセル内のオブジェクトの移動

近年,携帯電話や無線LANなどに比べて通信範囲の狭いBluetoothやZigBeeといった通信技術が普及している.これらの通信技術は誰もが自由に利用でき,また近年の技術進歩により,比較的安価に導入することが可能である.これらの通信技術に安価な赤外線センサを組み合わせて用いることで,無線センサネットワークを構築し,広大な範囲での人物などの移動物体(オブジェクト)追跡技術を実現することが期待されている.

これまでに我々は,前述の通信技術の利用を想定し,6×6 m2の小規模な範囲(マイクロセル)でのオブジェクト追跡手法:FOT(Flow-based Object Tracking)を提案してきた.提案手法は,実環境でのオブジェクトの動きを計測した上で作成したオブジェクトの移動モデルにもとづいている.マイクロセルへの侵入と離脱の対応の推定手法としては,時系列情報を扱えるようにベイズ推定法を拡張した手法を提案した.

本研究では,先行研究の結果を基にして,複数の交差点のある領域の交通流監視など,広範囲領域における高精度なオブジェクトの追跡の実現を考える.対象とする広範囲領域は複数のマイクロセルから構成されるものとし,各マイクロセルのオブジェクトの侵入/離脱する箇所にはセンサが配置されるものとする.本研究では,マイクロセル内とマイクロセル間のオブジェクトの移動を推定するために,MHT(Multi Hypothesis Tracking)ベースのオブジェクト追跡手法を提案する.MHTベースのオブジェクト追跡手法では,オブジェクトがマイクロセルに侵入した際に,オブジェクトがある離脱箇所へ移動するという仮説(推定遷移オブジェクト:Temporary Object)を立てる.この時,移動可能な離脱箇所の数だけ推定遷移オブジェクトが作成されると,領域が広範囲になりマイクロセルの連結が多くなる程,推定遷移オブジェクト数が増加する.本研究では,推定遷移オブジェクト数を抑制することを考える.

[関連発表論文]

(該当なし)

2.1.3. 映像情報を用いたモバイルノード属性情報の抽出手法の研究

動画像処理によるノード数推定
図:動画像処理によるノード数推定

近年,ネットワーク技術の急速な進歩や安価なセンサの普及などにより,あらゆる情報が環境中に遍在するユビキタスネットワーク社会が実現しつつある.ユビキタスネットワーク社会ではノード(人物,家電製品など)に応じたネットワークの構築や通信の制御,及び環境に適したサービスの提供などを行うことが求められる.そのためには,ノードの属性情報(存在位置,存在時刻など)やその統計的性質(滞在時間分布,存在確率など)が必要となる.一方で,近年の光学センサ等の計測機器の性能向上及びコンピュータの処理能力の飛躍的進歩にともない,動画像のリアルタイム処理が容易となりつつある.動画像処理技術を応用することで,景観動画像中からノードの属性情報をリアルタイムに収集することができるようになると考えられる.

動画像処理によりモバイルノードの情報を収集するためには,まず動画像中の移動物体部分と背景部分の識別を行い,移動物体のみを抽出する必要がある.動画像から人物や自動車などの移動物体を抽出する手法として,近接フレーム間で各画素値の差分をとるフレーム間差分法や背景画像との差分をとる背景差分法,色ヒストグラムや色コリログラムなどの色情報を用いる手法,移動物体の形状を用いた手法,オプティカルフローと呼ばれる画像上の各点の速度場を用いた手法,前後の移動軌跡情報を用いた手法などさまざまな手法が提案されている.しかしながら,対象が人物のような非剛体である場合,複数のモバイルノードが同方向に移動しオクルージョンが発生している場合には,抽出精度が低下する.

本研究では,ユビキタスネットワーク社会の実現へ向けたモバイルノードの情報収集を目的とし,都市の雑踏などノード密度が高くオクルージョンが頻繁に発生する状況を想定し,景観動画像から対象領域中に存在するモバイルノード数をリアルタイムに推定する手法を提案する.提案手法では,動画像中の動きのある部分を差分抽出法により抽出し,統計データに基づく位置に依存した変換アルゴリズムを用いて,抽出した面積からノード数を推定する.提案手法は市販PCでリアルタイム処理が可能である.

[関連発表論文]

  1. 栗山さやか, 長谷川剛, 中野博隆, “景観画像を用いた通行人密度の推定について,” 画像電子学会第242回研究会, Nov. 2008.
  2. Sayaka Kuriyama, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Real-time estimation method of the number of pedestrians in video sequences,” submitted for publication.

2.1.4. TDMA型無線メッシュネットワークにおけるスパニングツリー構築法に関する研究

メッシュネットワーク
図:メッシュネットワーク

近年,無線メッシュネットワーク(以降では,単にメッシュネットワークと呼ぶ)への関心が高まっている.メッシュネットワークでは,複数の無線基地局(メッシュノード)が領域内に設置され,メッシュノード間は無線で通信する.領域内の各端末は近接するメッシュノードに接続し,各メッシュノードはゲートウェイノードと呼ばれる有線ネットワークに接続された特別なメッシュノードと無線マルチホップ通信を行うことで,外部ネットワークとの通信を実現する.メッシュノード間を無線で接続することにより,メッシュノードの配置場所に関する制約が減少するため,広範囲な無線アクセス環境を低コストかつ柔軟に構成できるという利点がある.

このような利点から,メッシュネットワークは,有線ネットワークのインフラが整っていない地域でのインターネットアクセスのためのインフラとしても期待されている.しかし,インフラとして用いる場合,ゲートウェイノードにトラヒックが集中することが問題となる.また,有線ネットワークの敷設が整っていない地域では,ゲートウェイノードに接続する有線ネットワークへのアクセス回線容量も限られることが想定される.そのため,このような地域においてメッシュネットワークをインフラとして用いる場合には,ゲートウェイノードに接続するアクセス回線がボトルネックとなる.ゲートウェイノードは有線ネットワークとの接続拠点であることから,その影響はメッシュネットワーク全体に及ぶ.

ゲートウェイノードへのトラヒックの集中を緩和するためには,複数のゲートウェイノードを設置することが必須である.このとき,従来のスパニングツリー構築法によってゲートウェイノードを根とするツリーを構築すると,各メッシュノードは最短経路上のゲートウェイノードを選択するため,ゲートウェイノードにかかるトラヒック負荷に偏りが生じる.つまり,複数のゲートウェイノードを設置するだけではゲートウェイノードのトラヒック負荷を十分に分散できない可能性があり,各メッシュノードがゲートウェイノードを選択する際には,ゲートウェイノードにかかるトラヒック負荷やアクセス回線容量を考慮しなければならない.一方で,最短経路以外の経路の場合,経路長の増加にともない無線リンク間の電波干渉が増加する.したがって,メッシュネットワーク内の電波干渉を抑えた上でゲートウェイノードにかかるトラヒック負荷を分散させることで,メッシュネットワークとインターネット間を流れるトラヒック量を最大化できる.

本研究では,ゲートウェイノード及びメッシュノードの配置が与えられ,メッシュネットワークが構築されたという前提の下,メッシュネットワークから有線ネットワークへ流れるトラヒック量が最大となるようなゲートウェイノードを根とするスパニングツリーの構築法を提案する.まず,メッシュネットワーク内の電波干渉を最小に抑えるようにツリーを構築し,メッシュネットワーク内を流れるトラヒック量を最大化する.その後,このツリーにおいてアクセス回線がボトルネックとなる場合は,無線リンク間の電波干渉の影響を考慮しながら各アクセス回線の利用率が等しくなるようにツリーを再構築する.シミュレーション評価を通して,提案手法はボトルネックの位置によらず有線ネットワークへと流れるトラヒック量を向上でき,従来の最短経路ツリー構築法の最大で3.1倍の性能を実現可能であることを示した.

[関連発表論文]

  1. 時任宏, 笹部昌弘, 長谷川剛, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおけるゲートウェイ負荷を均一化するための経路制御手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (AN2008-27), pp.73-78, July 2008.
  2. 時任宏, 笹部昌弘, 長谷川剛, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおける経路制御によるゲートウェイ負荷の均一化,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-08), pp.47-48, Dec. 2008.
  3. Hiroshi Tokito, “Load-balanced and interference-aware spanning tree construction algorithm for TDMA-based wireless networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2009.
  4. Hiroshi Tokito, Masahiro Sasabe, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Routing method for gateway load balancing in wireless mesh networks,” in Proceedings of the 8th International Conference on Networks (ICN 2009), Mar. 2009.
  5. 時任宏, 笹部昌弘, 長谷川剛, 中野博隆, “TDMA型無線メッシュネットワークにおける負荷分散及び電波干渉軽減のためのスパニングツリー構築法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-58), pp.1-6, Mar. 2009.

2.1.5. TDMA型無線メッシュネットワークにおけるメッシュノードの電力制御手法に関する研究

電力制御のトレードオフ
図:電力制御のトレードオフ

メッシュネットワークが抱える重要な問題の1つに,隣接するメッシュノードや端末の同時送信による電波の干渉が挙げられる.メッシュネットワークでは,一般的にバックボーンネットワークにおけるメッシュノード間の通信には1つのチャネルを共有するため,無線資源の利用効率の低下を防ぐためには,電波の干渉を低減することが必要となる.

電波の干渉によるネットワーク性能の低下を防ぐために,マルチチャネル環境におけるチャネル割り当てや,指向性アンテナを用いたトポロジ制御などにより,電波の干渉を回避する手法が提案されている.しかしながら,これらの手法は電波干渉の低減の効果は大きいが,複数の無線インターフェイスや指向性アンテナが必要となり,適用できる状況が限定される.一方,TDMA 方式を用いたMAC プロトコルでは,リンクスケジューリングにより電波の干渉を回避することができる.リンクスケジューリングとは,干渉関係にあるリンクに異なるタイムスロットを割り当てることで,同時に送信が発生する状況を回避する手法である.しかしながら,リンクスケジューリングでは,電波の干渉が増加するとともにリンクの干渉関係が増加することから,全てのリンクが送信を行うために必要なタイムスロット数が増加し,無線資源の利用効率が低下する.

本研究では,電力制御を用いてメッシュノードの通信電力を制御することにより,この問題を解決することを考える.一般的にバックボーンネットワークの構築の際には,メッシュノードは最大通信電力により互いに通信可能な近隣のメッシュノードと通信を確立する.そのため,メッシュノードに電力制御を適用し,通信電力を必要最小限とすることで,リンクの干渉関係を減少することができれば,無線資源の利用効率の向上が期待できる.一方で,通信電力を抑制することで,ネットワーク内の利用可能なリンク数が減少するため,ネットワークの接続性が低下する.このことは,メッシュノード間経路のホップ数の増大を引き起こし,無線資源の利用効率が低下する原因となる.すなわち,電力制御を行う場合には,干渉の減少による無線資源の利用効率の向上と,ホップ数の増加による無線資源の利用効率の低下のトレードオフを考慮する必要がある.我々の知る限りでは,無線メッシュネットワークにおいてこのトレードオフの関係に着目した研究はまだ存在しない.

本研究では,TDMA 方式に基づく無線メッシュネットワークにおいて,無線資源の利用効率を向上するための電力制御手法を提案する.メッシュノードの次数または干渉が発生するメッシュノードの数により適切に通信電力を下げることで干渉を減少しつつ,ホップ数の増加を抑制する.また,各メッシュノードは電力制御前にリンクが存在した隣接メッシュノードとの経路を一定のホップ数に抑えることで,大きなホップ数の増加を抑制する.シミュレーション評価の結果,無線メッシュネットワークの規模に応じたパラメータ設定を行うことで,無線資源の利用効率が最大27% 向上できることを示した.

[関連発表論文]

  1. 秀熊俊明,長谷川剛, 笹部昌弘, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおける無線資源の利用効率を向上するための電力制御手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (AN2008-25), pp.61-66, July 2008.
  2. 秀熊俊明,長谷川剛, 笹部昌弘, 中野博隆, “無線メッシュネットワーク容量向上のためのノード電力制御手法,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-10), pp.51-52, July 2008. (優秀ポスター賞)
  3. Toshiaki Hidekuma, “Power control methods for improving spatial reuse in TDMA-based wireless mesh networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2009.
  4. Toshiaki Hidekuma, Go Hasegawa, Masahiro Sasabe, and Hirotaka Nakano, “Degree-based power control method for increasing spatial reuse in TDMA-based wireless mesh networks,” in Proceedings of the 8th International Conference on Networks (ICN 2009), Mar. 2009. (Best Paper Award)
  5. 秀熊俊明,長谷川剛, 笹部昌弘, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおける電波干渉および経路長を考慮した電力制御手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-59), pp.7-12, Mar. 2009.

2.1.6. IEEE 802.16メッシュネットワークの資源割り当てにおける伝送遅延低減の研究

無線メッシュネットワークでは,あるメッシュノードから送信された電波がその通信範囲内にある全てのメッシュノードで受信されるため,他のメッシュノードとの間でデータパケットの衝突を起こす可能性がある.衝突を防ぐためには,各メッシュノード間でTDMAを用いてスケジューリングを行うなどの方法をとる必要がある.TDMAでは,フレームと呼ばれる一定間隔で時間を分割し,そのフレーム内でネットワーク内の各ノードに通信機会を与えるスケジューリングを行う.通信機会はフレームを一定間隔ずつ区切ったタイムスロットと呼ばれる単位で与えられ,あるノードに特定のタイムスロットが割り当てられた場合,そのノードに干渉を起こす可能性のあるノードはそのタイムスロットにおいて通信を行わない.このようにスケジューリングを行うことでデータパケットが衝突することを防ぐ.

従来のRTS/CTSモデルを用いた無線ネットワークでは,フレーム長ができるだけ小さくなるようにタイムスロットを割り当てることで伝送遅延を少なくし,スループットの向上が図られている.一方,IEEE 802.16で定義される無線メッシュネットワークではフレーム長を固定長とし,EBTT(Election Based Transmission Timing mechanism)と呼ばれる各メッシュノードによる動的なスロット獲得機構により伝送遅延を減らすよう考えられている.IEEE 802.16では,リンクスケジューリングが公平性,帯域利用率,伝送遅延などの性能に影響を与える.

TTS(Transmission-Tree Scheduling)アルゴリズムと呼ばれるIEEE 802.16 PMP(Point-to-MultiPoint)モードをベースとしたアルゴリズムでは,メッシュノードからゲートウェイノードまでツリー構造トポロジを構築し,各メッシュノードのトラヒック要求をservice token と呼ばれる値で定義,service token の大小によって割り当てるタイムスロット数を決定している.リンクへのタイムスロット割り当て順序の決定基準として,ランダム順,干渉数の昇順,ゲートウェイノードまでのホップ数昇順,ゲートウェイノードまでのホップ数降順の4種類の方法を用いた通信品質評価が行われており,ゲートウェイノードまでのホップ数昇順でのタイムスロットの割り当てが最も良い性能を示すとの結論が得られている.

本研究ではタイムスロットの割り当て方法の違いによる伝送遅延時間とフレーム長の変化の関係を調査する.調査結果を用い,IEEE 802.16無線メッシュネットワークにおいて,フレーム長を抑えた上でより遅延時間の短くなるスロット割り当て方法を提案する.

[関連発表論文]

(該当なし)

2.1.7. IEEE 802.16メッシュネットワークにおける被覆領域の改善手法に関する研究

第一近接ノードとの距離の推定法
図:第一近接ノードとの距離の推定法

次世代の無線通信技術としてWiMAXが注目されている.WiMAX の一部で,無線メッシュネットワークの構築に関する項目であるIEEE 802.16j では,メッシュノード同士が無線通信によってツリー型のトポロジを構築し,マルチホップ通信によって有線ネットワークへのアクセス環境を提供する.メッシュネットワークは広範囲な無線アクセス環境を低コストかつ柔軟に構築する技術として近年注目を集めており,通信ケーブルの敷設が難しい地域への通信エリア拡大および品質改善,また短期的なイベントや災害時での利用などに期待されている.

WiMAXでは,複数のチャネルを一定時間ごとのタイムスロットに分割して使用するとともに,接続に用いられる変調方式としてOFDMおよびOFDMAを採用している.それぞれのメッシュノードはユーザにネットワークアクセス環境を提供するためにサービス領域を展開するが,サービス領域が重複する部分では電波干渉が発生し,ユーザ端末がメッシュネットワークに接続する際の接続成功確率が低下する.また接続確率後の状態においても,サービス領域の重複部分の増大は,TDMAによるタイムスロット割り当ての効率の低下を引き起こす.

このような問題を回避するためには,サービス領域ができるだけ重ならないように各メッシュノードがサービス領域を決定する必要がある.サービス領域の大きさを決定するには,周囲のメッシュノードの正確な位置情報やサービス領域の大きさが必要であるが,これらの情報はトポロジを構築する際に常に得られるとは限らない.そこで本研究ではまず,トポロジを構築する際に得られる限定的な情報のみを用いて,メッシュノードのサービス領域の大きさを決定する手法を提案する.具体的には,各メッシュノードに対して最も近くに存在するメッシュノードである第一近接ノードとの距離を推定し,その値を基準にした距離を半径とする円を基準にしてサービス領域を設定する.シミュレーションによって提案手法の性能評価を行い,提案手法によって得られる単被覆領域の最大値が,各メッシュノードが単一なサービス領域を設定した場合に比べて,平均32% 改善できること,またこのとき,サービス領域の最大重複数を平均50%削減できることを示した.

[関連発表論文]

  1. 竹森翔一, “IEEE 802.16 メッシュネットワークにおける物理トポロジ情報を用いた被覆領域の改善手法,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.

2.1.8. ユビキタス環境実現のための無線メッシュネットワークによる情報収集方式の性能評価

ユビキタス環境
図:ユビキタス環境

情報の入力や出力を行える端末が至るところに遍在し,端末同士が有線や無線で通信を行うことで人が端末やネットワークを意識することなくそれらを利用できるような環境を,ユビキタス環境と呼ぶ.ユビキタス環境の活用例として,連続的に分布している情報の中から必要に応じて任意の位置の情報を収集するサービスがある.このような情報を収集する手段はその目的や要求性能に応じて多数存在するが,その一つに無線メッシュネットワークがある.

上述のサービスにおいて,収集した情報の発生位置に関する情報を得ることが困難な場合には,その近くの端末の位置情報で代用することが考えられる.その場合には,収集した位置情報と取得したい位置情報の間に差(位置誤差)が生じる.また,情報を取得した端末からその情報を収集する端末への通信は,複数の端末を中継する多段通信により実現されるため,情報の収集に遅延(収集遅延)が発生し,リアルタイムに情報を提供するサービスに適用する場合には問題となる.ユビキタス環境を活用したサービスにおいては,これらの位置誤差や収集遅延が許容範囲に収まるように設計しなければならない.

そこで本研究では,ユビキタス環境を活用したサービスの中で,無線メッシュネットワークを利用した情報収集により実現できると考えられるものについて調査を行い,それらのサービスにおいて求められる位置誤差や収集遅延について検討した.また,それらのサービスをTDMA 型無線メッシュネットワークを用いて実現することを想定し,端末の設置数,位置,および端末の送信情報量に対して割り当てるタイムスロットの精度が,情報収集における位置誤差および収集遅延に与える影響を評価した.その結果,端末数が小さくなると位置誤差は急激に大きくなること,および端末数が等しければ,ランダムに端末を配置した場合の位置誤差は,理想的な配置の場合に対して最大40%の増加となることが明らかとなった.また,サービスが求める収集情報量と収集遅延に応じて,最適なタイムスロットの割り当て精度があることを明らかにした.

[関連発表論文]

  1. 相地宏樹, “ユビキタス環境の実現のための無線メッシュネットワークによる情報収集方式の性能評価,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.

2.2. 次世代情報ネットワークのためのトランスポートアーキテクチャに関する研究

エンドホスト間でデータを高速に,かつ効率よく転送するための中心技術がトランスポートプロトコルである.特にインターネットで用いられているTCPでは,エンドホストがネットワークの輻輳状態を自律的に検知して転送率を決定している.これは,インターネットの基本思想であるEnd-to-end princi-pleの核になっているものであるが,エンドホストの高速化により,その適応性をより高度なものにできる可能性が十分にある.また,ネットワーク内ルータでは,エンドホストの適応性を前提とした制御を考えていく必要があるが,それが実現されれば,自律性,適応性に富んだ高機能ネットワークの可能性も見えてくる.本研究テーマでは,そのようなトランスポートプロトコルに関する研究に取り組んでいる.また,IPネットワーク上において特定のサービスを提供するためのオーバレイネットワークにおけるトランスポートアーキテクチャや,オーバレイネットワークの浸透にともなって発生すると考えられる諸問題に関する研究などにも取り組んでいる.

2.2.1. オーバレイネットワークにおける計測オーバヘッドの削減に関する研究

計測パス数の削減
図:計測パス数の削減

オーバレイネットワークはIPネットワーク上に論理的に構築されたネットワークであるため,性能の維持,向上のためには定期的にオーバレイパスの資源情報を計測によって得る必要がある.オーバレイネットワークの構築に必要な情報を得る手法は数多く提案されているが,その多くは小規模なオーバレイネットワークを対象としており,全てのオーバレイノード間の経路を計測する手法である.このような手法ではオーバレイノード数の2乗の計測コストが必要であり,オーバレイノード数が増加した場合には計測に必要なコストの増加が問題となる.

そこで本研究においては,IPネットワークにおけるルータ数に対するオーバレイノードの割合(オーバレイノード密度)に対しコストがスケーラブルな計測手法を提案した.具体的には,経路の重複が明らかな場合,つまり,オーバレイパス内に他のオーバレイノードが含まれており,オーバレイパスが複数のホップ数の小さなオーバレイパスで構成されている場合に,それらの部分オーバレイパスの計測結果を用いて資源情報を推測することにより,計測パス数の削減を行う方式を提案,評価した.本手法は,オーバレイノード密度が増加した場合,このような経路の重複が増加することを利用し,オーバレイノード密度に対するスケーラビリティを実現している.数学的解析手法,およびさまざまなトポロジに対するシミュレーションによって計測パス数の評価を行った結果,提案手法を用いた場合の計測パス数をフルメッシュ計測と比較して最高で約1/4000程度に削減できることを明らかにする.また,シミュレーションよりオーバレイパスの資源情報の推測に必要な情報交換数の評価を行った.さらに,ネットワークにおけるノード次数の分布を利用したオーバレイノードの設置戦略を提案し,計測パス数をさらに約1/5程度に削減できることを示した.

[関連発表論文]

  1. 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークの密度にスケーラブルなネットワーク計測手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-107), pp.127-132, Dec. 2008.
  2. 森弘樹, “オーバレイネットワークの管理に必要な資源情報を得るためのスケーラブルな計測手法,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.
  3. 森弘樹, 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークにおける経路重複を利用した計測手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-67), pp.53-58, Mar. 2009.
  4. Go Hasegawa and Masayuki Murata, “Scalable and density-aware measurement strategies for overlay networks,” to be presented at the 4th International Conference on Internet Monitoring and Protection (ICIMP 2009), May 2009.

2.2.2. オーバレイルーティングに起因するネットワークただ乗り問題に関する研究

ネットワークただ乗り問題
図:ネットワークただ乗り問題

オーバレイネットワークには,エンドホスト間のTCPスループットや遅延時間,IPネットワークレベルあるいはオーバレイネットワークレベルのホップ数などのネットワーク性能を指標として,トラヒック制御を行うものが存在する.また,特定のアプリケーションを前提とせず,トラヒックのルーティングそのものを目的(アプリケーション)とするオーバレイネットワークも登場しつつある.オーバレイルーティングを行うことによって,通常のIPルーティングに比べて,利用するユーザにとってのネットワーク性能(スループットや転送遅延時間など)が改善することが明らかとなっている.これは,オーバレイルーティングとIPルーティングではルーティングに用いるポリシーが大きく異なることに起因している.しかし,逆にオーバレイルーティングが,IPルーティングを司るISPに悪影響を及ぼすことが考えられる.これは,主にISPが持つ他ISPとの接続リンクの課金構造が原因で発生する.ISPが上位ISPに対して持つトランジットリンクは,通過するトラヒック量の最大値に応じて通常課金される.一方,ピアリングリンクに関しては,コストは回線そのものの維持コスト(通常ピアリングするISPで折半される)を除いてほとんど発生しない.ISPが行うIPルーティングはこのコスト構造の違いを考慮して行われており,ピアリングリンクにはピアリング関係にある両ISPを起点・終点とするトラヒックのみが通過する.一方,アプリケーションレベルで行われるオーバレイルーティングはこのようなISPの都合を考慮せず,ネットワーク性能やアプリケーションの要求のみに基づいて行われるため,ISPが前提としているコスト構造を無視したトラヒックが発生することが考えられる.

本研究ではこの問題をオーバレイルーティングによるネットワークただ乗り問題と呼び,それがISPにとって無視できない問題であることを指摘した.まず,本研究において対象とするただ乗り問題の定義を行い,ISPにとって深刻な問題となり得ることを指摘した.また,オーバレイルーティングがルート選択の際に用いるパスの性能指標として空き帯域(利用可能帯域)およびノード間ラウンドトリップ時間を考え,それぞれを用いた場合に,他のノードを中継してトラヒックが運ばれる条件およびそのトラヒック量に関する定式化を行った.また,研究用大規模オーバレイネットワークであるPlanetLabで得られている参加ノード間の計測データを用いて,ネットワーク全体でどの程度のトラヒックがただ乗り経路によって運ばれる可能性があるかを試算し,それが無視できない量であることを指摘した.

さらに本研究では,ネットワークただ乗り問題を評価するための定量的な指標を導入し,オーバレイルーティングを行った際に発生する,ただ乗り問題の大きさに関する評価を行った.その結果,ユーザ性能が向上するようにオーバレイルーティングを行うと,その時用いられるオーバレイパスの65−90%はただ乗りを発生させることが明らかとなった.また,特に利用可能帯域をメトリックとする場合には,ユーザ性能が向上し,かつ,ただ乗り量が減少するようなオーバレイパスを選択できる確率が高くなることを示した.

[関連発表論文]

  1. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Effectiveness of overlay routing based on delay and bandwidth information,” to appear in IEICE Transactions on Communications, 2009.
  2. Go Hasegawa, Yuichiro Hiraoka, and Masayuki Murata, “Evaluation of free-riding traffic problem in overlay routing and its mitigation method,” to be presented at the 5th International Conference on Networking and Services (ICNS 2009), Apr. 2009.

2.2.3. 資源探索範囲を考慮したP4Pネットワークの性能評価に関する研究

P4Pの仕組み
図:P4Pの仕組み

オーバレイネットワークに用いられる技術の1つであるオーバレイルーチングは,必要に応じて送信ノードと受信ノード以外のオーバレイノードを中継してデータ転送を行なうことにより,効率の良いデータ転送が可能となる.オーバレイルーチングを利用すると,利用しない場合にはデータ転送に関与しなかったネットワークがトラヒックを中継することがあり,そのトラヒックがトランジットリンクを通過すると,中継されたネットワークを運営するISPは不当にコストを支払わされる.この問題をネットワークただ乗り問題と呼ぶ.また,P2Pファイル共有ネットワークにおいて,リクエスト元のピアが所属するISP内に要求するコンテンツが存在しても,外部ネットワークに存在するピアをダウンロード相手として選択する場合がある.この通信で発生するトラヒックはトランジットリンクを通過する可能性が高く,ISPのコストの増大が問題となる.P2Pファイル共有ネットワークにおけるただ乗り問題を軽減する技術として,P4Pと呼ばれる技術が近年注目されている.P4PはISPとP2Pネットワークが協調してピア選択を行なうことにより,ネットワーク資源の公平かつ効率的な利用,およびISPのトランジットコストを削減することを目的とした技術である.また,トラヒックが中継されるときに,運ばれるコンテンツを中継ノードの所属するISPにおいてキャッシュすることによって,ユーザ性能の改善,および将来的なトランジットコストの低下が期待される.

そこで本研究では,P4Pおよび中継キャッシュを考慮したP2Pファイル共有ネットワークの性能評価をシミュレーションによって行なった.性能評価においては,ネットワークのトポロジやP2Pアプリケーションのコンテンツ検索手法の違いによって生じる資源探索範囲の違いに着目した.シミュレーションによる評価の結果,資源探索範囲が狭い状況においては,遅延時間が最小となるピアを選択可能な場合,P4Pの適用により,新しいコンテンツは7−8%,ある程度拡散したコンテンツは10−18%遅延時間が小さくなることが分かった.また,ランダムにピアを選択する場合は,P4Pの適用により,新しいコンテンツは28−29%,ある程度拡散したコンテンツは34−41%遅延時間が小さくなることが分かった.

[関連発表論文]

  1. 野田健, “資源探索範囲を考慮したP4Pネットワークの性能評価,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.
  2. 野田健, 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイルーチングによるキャッシュを考慮したP2Pファイル共有ネットワークの性能評価,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-72), pp.83-88, Mar. 2009. (情報通信マネジメント研究賞)

2.2.4. 大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバレイルーティング手法関する研究

オーバレイルーティングによる代替経路
図:オーバレイルーティングによる代替経路

地震,風水害,テロなどの大規模災害に対するコンピュータネットワークの対策に関しては未だ体系的に議論されておらず,災害発生時においてもネットワークの十分な信頼性を確保することは難しい.通常,高信頼なネットワークは冗長性に優れた構成を組むことにより実現されるが,インターネットにおけるIPルーティングプロトコルでの転送経路切替方法では短時間での切替は困難である.また,IP層の機能強化を行う場合にも,共通基盤に新しい機能を付加することにより,それに付随する制御が種々派生し,その複雑さによってアーキテクチャの破綻を招く恐れがある.

また,これまでのネットワーク制御に関する研究の多くはコストと性能のトレードオフを論じるものであり,非常時などにおける障害は確率的には非常に小さい発生事象にも関わらずコストが大幅に増大するため,これまであまり検討されていない.また,それらの中でもネットワークの高信頼化を実現する研究はあったが,それらのほとんどは単一障害を仮定しており,大規模なネットワーク障害に関する研究はほとんど行われていない.

そこで本研究では,オーバレイネットワークを用いたトラヒックルーティング技術を用いることで,大規模災害等によってIPネットワークに大きな障害が発生した際に,従来のBGPによるAS間ルーティングでは到達不可能となるAS間通信の大部分を短時間で復旧することが可能となる,オーバレイルーティング手法を提案した.具体的には,オーバレイノードの設置場所,情報交換手法,ASの参加・離脱手法等の検討を行い,小さい通信オーバヘッドでより多くのASが参加可能となるオーバレイネットワーク構築手法を提案した.提案手法の有効性は,CAIDAがBGPトラヒックの計測を行い公開しているASネットワークトポロジを用いて検証し,提案手法がオーバレイノード間の情報交換量を従来手法に比べて1/10−1/1000程度に削減できること,および大規模ネットワーク障害に対して,高いネットワーク接続性を維持し,BGPに比べて短時間で代替経路を発見することができることを示した.

また本研究では,ネットワーク障害からの回復手法のもうひとつのアプローチである,プロアクティブ型の障害回復手法を,オーバレイネットワークを用いたオーバレイルーティングに適用する手法について検討を行った.検証の結果,提案手法が単一の障害のみに留まらず,複数の障害発生時においてもBGPによるルーティングに比べて高い到達性を実現し,かつ障害発生後の平均経路長が理想的な場合に比べてほとんど増加しないことを明らかにした.

[関連発表論文]

  1. 堀江拓郎, 長谷川剛, 亀井聡, 村田正幸, “大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバレイルーティング手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-63), pp.117-122, Sep. 2008.
  2. 堀江拓郎, 長谷川剛, 亀井聡, 村田正幸, “オーバレイルーティング手法を用いた大規模ネットワーク障害からの回復,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-05), pp.41-42, Dec. 2008.
  3. Takuro Horie, Go Hasegawa, Satoshi Kamei, and Masayuki Murata, “A new method of proactive recovery mechanism for large-scale network failures,” to be presented at the IEEE 23rd International Conference on Advanced Information Networking and Applications (AINA-09), May 2009.

2.2.5. 無線LAN環境における遅延に基づく輻輳制御を用いたTCPの性能評価

無線LAN環境におけるTCPの性能評価
図:無線LAN環境におけるTCPの性能評価

近年,インターネットが様々なネットワーク技術により大規模化・高速化するとともに,無線LANによるインターネットアクセスが一般化している.無線LAN規格には,無線伝送速度が最大11 [Mbps]であるIEEE802.11bや無線伝送速度が最大54 [Mbps]であるIEEE802.11aなどが標準化され一般に利用されている.さらに,無線伝送速度が最大300 [Mbps]を越えるIEEE802.11nも標準化が進み,無線ネットワーク環境は今後も高速化される傾向にある.

一方,高速・高遅延ネットワークを対象に従来のTCPRenoに替わるTCP改良手法が数多く提案されている.それらの提案手法の中には,TCPコネクションのラウンドトリップ時間(RTT)をネットワークの輻輳の指標として用いる手法(delay-based手法)がある.Delay-based手法はパケット廃棄の発生を指標として用いる手法に比べ,早期に輻輳を検出することにより高いスループットを得ることができる.しかし,そのような手法は,無線ネットワークのようなRTTがネットワークの輻輳とは関係なく変動する環境では正しく動作しないことが予想される.しかし,無線端末においてネットワーク環境に応じてトランスポート層プロトコルを切り替えるのは現実的ではなく,無線ネットワーク環境が今後も高速化される傾向にあるため,delay-based手法がそのまま利用される可能性が十分ある.また,無線LANは上りと下りでネットワーク帯域を共有するため,特に無線端末がTCP送信側になる場合には,アクセスポイントが輻輳を起こすことが考えられる.しかし,この問題がTCPの性能に与える影響はこれまでほとんど検証されていない.

そこで本研究では,無線LAN環境において,RTTをネットワークの輻輳の指標として用いるdelay-based手法の性能評価をシミュレーションによって行う.その結果,無線端末が送信側である場合において,無線端末のバッファにデータパケットが蓄積することやTCP改良手法が実装レベルでRTT情報をフィルタリング処理することによって,RTTの変動の影響を抑えることができることを示した.また,無線アクセスポイントにACKパケットが蓄積することが原因となりTCPコネクション間に深刻な不公平性が発生することを明らかにした.

さらに,不公平性を改善するための手法として,ACKパケットの損失に対して輻輳制御を行う手法を提案し,提案手法が上りフロー間の不公平に対して有効であるだけではなく,上下フロー間の不公平に関しても一定の改善を行うことができることがわかった.

[関連発表論文]

  1. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境における複合型TCP輻輳制御手法の性能評価とその改善手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2008-28), pp.13-18, July 2008.
  2. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善手法の提案とその評価,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-11), pp.53-54, Dec. 2008. (ベストポスター賞)
  3. Masafumi Hashimoto, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Performance evaluation and improvement of hybrid TCP congestion control mechanisms in wireless LAN environment,” in Proceedings of the 2008 Australasian Telecommunication Networks and Applications Conference (ATNAC 2008), pp.367-372, Dec. 2008.

2.2.6. インラインネットワーク計測技術に関する研究

インラインネットワーク計測
図:インラインネットワーク計測

近年のネットワークサービスの多様化に伴い,サービスオリエンテッドなネットワーク(サービスオーバレイネットワーク)が拡がりつつある.これらのネットワークにおいてサービス品質を向上させるためには,下位層ネットワークであるIPネットワークを与条件として,サービス提供のためのコネクション設定要求が発生した時に,利用可能な下位層ネットワーク資源量を適切に把握することが重要である.

我々の研究グループでは,IPネットワークのエンドホスト間で利用可能な帯域幅および物理帯域を同時にかつ少ないオーバヘッドで計測する,インラインネットワーク計測手法を提案している.提案方式は,アクティブなTCPコネクションのデータ送受信時に得られる情報に基づいて計測を行なう,インラインネットワーク計測と呼ばれる方式であり,新たな計測用のトラヒックをネットワークに導入する必要がなく,かつ計測結果を素早く導出することが可能となる.物理帯域の計測手法に関しては,同時に計測を行う利用可能帯域値を利用することで,従来手法とはまったく異なるアルゴリズムを用いて物理帯域の推測を行っている.

本年度の研究においては,オーバレイネットワークがトラヒックの経路選択を行うために必要となる,経路の帯域情報を知るための,各オーバレイノードで分散的に動作する帯域情報収集システムImSystemを提案した.ImSystemは上述のインラインネットワーク計測を利用することにより,帯域計測用のトラヒックを減少させることができる.そのため,帯域情報収集のためにネットワークへ与える負荷が小さいという特長を持つ.さらに,ImSystemをベースに,計測用のトラヒックが互いに重ならないように計測タイミングを調整するImSystemPlusを提案した.シミュレーション評価結果により,提案システムが常に最新の帯域情報を高い精度で把握することが可能であり,かつ,ネットワークへ与える影響が少ないことを示した.また,オーバレイネットワーク上のトラヒック量が少ない場合においても,提案システムがそれを有効に利用し,計測用トラヒックを大幅に減らすことができることが明らかとなった.

[関連発表論文]

  1. Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Inline bandwidth measurement techniques for gigabit networks,” International Journal of Internet Protocol Technology, vol.3, no.2, pp.81-94, Sep. 2008.

2.2.7. インラインネットワーク計測技術を利用した新たなTCPサービスに関する研究

スループット確保を可能とするTCP改良手法
図:スループット確保を可能とするTCP改良手法

前項のインラインネットワーク計測技術を用いることにより,TCPコネクションが転送中のデータ・ACKパケットを利用して,ネットワークパスの帯域に関する情報を獲得することができる.この情報を用いることで,従来実現できなかった,あるいは,従来アプリケーション層で実現する必要のあったさまざまなネットワークサービスを,トランスポート層,つまりTCPの制御によって実現することができると考えられる.本年度における研究では,一定のスループットを確保したデータ転送を実現するTCPの輻輳制御手法に関する検討を行った.

インターネットの発展によりサービスが多様化し,リアルタイム配信型アプリケーションなど,通信品質の確保を必要とするアプリケーションが注目されている.これまで,IP層やアプリケーション層において高い通信品質を提供する手法が提案されているが,ネットワーク規模に対するスケーラビリティや導入コストなどの問題から実現が困難とされている.そこで本研究では,トランスポート層において高い通信品質を実現する一方式として,TCPコネクションを用いてある一定のスループットを上位アプリケーションに提供する,TCPの輻輳制御方式を提案した.提案手法は,送信側TCPの輻輳ウィンドウサイズの増加方法を変更することで,データ送信レートを制御する.

提案手法の評価はシミュレーションおよび実装実験によって行い,その結果,背景トラヒック量が多く,利用可能帯域がほとんど存在しない環境においても,物理帯域の約10−20%のスループットを高い確率で獲得できることを示した.さらに,提案方式をLinux上へ実装し,研究室内の小規模実験ネットワーク,および大阪-東京間の公衆インターネット環境において実験を行った.その結果,提案方式がコンピュータシミュレーションとほぼ同程度の性能を発揮できることを確認した.

[関連発表論文]

  1. Kana Yamanegi, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “A transport-layer approach for achieving predictable throughput for Internet applications,” in Proceedings of the 7th International Conference on Networks (ICN 2008), pp.186-191, Apr. 2008. (Best Paper Award)
  2. Go Hasegawa, Kana Yamanegi, and Masayuki Murata, “TCP congestion control mechanisms for achieving predictable throughput using inline network measurement,” IEICE Transactions on Communications, vol.E91-B, no.12, pp.3945-3955, Dec. 2008.

2.2.8. インターネットにおける輻輳制御機構の環境変動への耐性向上

ノイズの付与による性能向上
図:ノイズの付与による性能向上

われわれは,インライン計測技術を用いて帯域に関する情報を取得し,その情報を用いてウィンドウサイズ制御を行うことによって,従来のTCP Renoにおける問題を本質的に改善するための新たなTCPの輻輳制御方式を提案している.

ウィンドウサイズ制御のアルゴリズムは,帯域に関する情報を用いることによってウィンドウサイズを適切な値にすばやく調節すること,および他のコネクションが競合する際に公平に帯域を分配できることを目的として設計する必要がある.そのために,数理生態学において生物の個体数の変化を表すモデルとして有名なロジスティック増殖モデル,およびロトカ・ヴォルテラ競争モデルを適用した.これらのモデルをTCPのウィンドウサイズ制御へ適用するために,生物の個体数をデータ転送速度に,個体数の収束値である環境容量を物理帯域に,および種間の競争を同一リンク上の複数コネクションの競合にそれぞれ変換する.

このような計測結果に基づく輻輳制御方式の性能が,利用可能帯域などの計測精度やネットワーク環境の変動に大きく影響を受けることに着目した.そこで,その改善方法として,計測した利用可能帯域の変動の大きさに応じて動的にパラメータを設定する方法,および意図的にノイズを加えてウィンドウサイズを振動させることにより,環境変動に対応する方法を提案した.これらにより,提案手法の基本的な性質を変えることなく,利用可能帯域の計測に含まれうる誤差や環境変動の影響を緩和できることを示した.

[関連発表論文]

  1. Mizuho Kodama, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Implementation experiments of TCP Symbiosis: bio-inspired mechanisms for Internet congestion control,” in Proceedings of the IEEE 2008 International Communication Quality and Reliability Workshop (IEEE CQR 2008), Apr. 2008. (Best Paper Award)
  2. Mizuho Kodama, “Increasing robustness to environmental changes for congestion control mechanisms,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2009.
  3. 児玉瑞穂, 長谷川剛, 村田正幸, “計測誤差および環境変動を考慮した帯域計測に基づくTCP輻輳制御方式,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-141), pp.55-60, Mar. 2009.
  4. Mizuho Kodama, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Bandwidth-based congestion control for TCP: measurement noise-aware parameter settings and self-induced oscillation,” to be presented at the 2nd International Workshop on the Network of the Future (Future-Network'09), June 2009.

2.2.9. インターネットルータのバッファサイズに関する研究

ルータバッファサイズ決定問題
図:ルータバッファサイズ決定問題

現在,インターネットルータのバッファサイズの決定には帯域遅延積を指標とする方法(以下normal指標と称する)が広く利用されている.これに対し,TCPを用いた通信が多数存在するという条件の下であれば,ネットワークリンクの利用率を維持するためには帯域遅延積をフロー数の平方根で除算しただけのサイズで十分であるという方法(以下sqrtN指標と称する)が提唱されている.また,TCPコネクションのデータパケット転送におけるバースト性を緩和する手法であるpacedTCPを用いることによって,さらに小さい数十パケットのバッファサイズで十分であるという主張も提起されている.しかし,これら主張はボトルネックリンクの利用率以外の視点からの十分な評価が行われていない.

そこで本研究では,ns-2を用いたシミュレーションにより,pacedTCPがルータのバッファサイズの設定に与える影響を,さまざまな視点から考察した.その結果,pacedTCPの導入により,ほとんどの場合でパケット廃棄率が小さくなるものの,パケット廃棄率がnon-pacedTCPとほとんど差がない場合は,データ転送遅延時間に悪影響を及ぼし,リンク利用率も高く維持できないことが明らかとなった.また,pacedTCPとnon-pacedTCPが混在した環境においては,normal指標ではpacedTCPフローが増加するにつれ,pacedTCPのスループットが大きくなるが,sqrtN指標の場合はpacedTCPのフロー数に関係なくnon-pacedTCPのスループットのほうが高く,pacedTCPを普及させるにはsqrtN指標では不適当であり,バッファサイズを大きくする必要があることが明らかとなった.

[関連発表論文]

  1. Go Hasegawa, Takeshi Tomioka, Kentarou Tada, and Masayuki Murata, “Simulation studies on router buffer sizing for short-lived and pacing TCP flows,” Computer Communications, vol.31, no.16, pp.3789-3798, Oct. 2008.

2.2.10. トランスポートプロトコルの改良によるシンクライアントシステムの性能向上に関する研究

シンクライアントシステム
図:シンクライアントシステム

シンクライアントシステムとは,クライアントからキーボード・マウスイベントを送信し,サーバから処理結果の画面情報を受信するシステムを指し,そのトラヒックは,文字情報に相当するインタラクティブな特性のトラヒックと,ウィンドウなどの画面情報に相当するバルク転送的な特性のトラヒックに大別できる.本研究においては,前者に対してパケットロスへの耐性向上を課題として,データパケットの複製同時送信を提案し,後者に対しては,スループットの向上を課題として,TCPのスロースタート再スタート(SSR)の影響を評価するとともに,データセグメントの再構成手法に関する検討を行った.

実トラヒックを利用したシミュレーションにより評価を行った結果,インタラクティブなトラヒックにおいて,ランダムなパケットロスに対しては効果を得られることがわかった.また,バルク転送的なトラヒックのバースト性が,SSR設定オフにより増大し,セグメント再構成により緩和されることを明らかにした.

[関連発表論文]

  1. 小川祐紀雄, 長谷川剛, 村田正幸, “シンクライアントトラヒックの性能向上のための遅延解析とTCP層最適化,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-56), pp.75-88, Sep. 2008.

2.3. P2Pアーキテクチャに関する研究

近年,コンピュータの高性能化により従来のクライアント−サーバ型アーキテクチャのようにファイルサーバやWWWサーバといったコンテンツを所有,管理するサーバを介するのではなく,ユーザ同士が直接,情報およびデータを交換するP2P型通信技術が注目されている.このような分散システムの一つであるP2P型システムにおいては,利用するユーザに対するQoS(検索・取得効率など)向上やシステム負荷(ネットワーク利用率,ピア使用率など)軽減が重要となる.本研究では,ファイル共有システムに着目し,ファイルの検索,P2P論理網の構築といった要素技術を提案することで,これらの問題に取り組んでいる.

2.3.1. ノードのモビリティを考慮したモバイルP2Pネットワークの構築

モバイルP2Pネットワーク
図:モバイルP2Pネットワーク

モバイルアドホックネットワーク(MANET)は固定的なインフラを必要としない,移動無線端末から構成される一時的な無線ネットワークであり,災害発生時など緊急時の対策用ネットワークとして,また,会議,講演会やイベント会場などにおける参加者間での情報交換・共有用ネットワークとしての利用が期待されている.そのような環境では中央サーバが存在しないので,各ノードが自律分散的にネットワーク上の所望する情報(オブジェクト)を発見する方法が必要である.MANETのネットワーク層ルーチングプロトコルは,与えられたIP アドレスへの接続性をマルチホップにより提供しているが,オブジェクトの発見を行うことは出来ない.

そこで,P2P ネットワークをMANET上に構築するモバイルP2P ネットワークの構築が考えられている.これまでに,インターネット上でファイル共有,ビデオ・音声通信等の目的で使用されてきたDistributed Hash Table (DHT) を,MANET用に修正したEkta,MADPastry等のモバイルP2Pネットワーク構築手法が提案されている.これらの手法は,ネットワーク層とアプリケーション層でルーチング情報を共有することで,通信オーバヘッドの削減,通信経路の短縮化などを実現している.また,MADPastryではノードの物理的な位置に基づきクラスタリングを行うことにより更なる性能の向上を実現している.しかしながら一方で,ノードの移動速度に対する適応性の低さが指摘されている.

本研究ではその原因となるネットワーク層でのルート消失について詳細を説明し,ルート消失がMADPastryに与える影響について定量的に評価した.この問題はネットワーク層で対処することが難しく,アプリケーション層で対処する必要がある.そこで本研究ではクラスタ内でオブジェクト情報を共有することで,環境変動に追従可能な方式を提案した.シミュレーション評価により,MADPastry と比べて高速な移動環境において検索効率を40%近く改善できることを示した.さらに,ネットワークの負荷を変動させた場合やオブジェクトの人気に偏りがある場合においても提案手法はMADPastryと比べて高い検索成功率を実現できることを示した.

[関連発表論文]

  1. Kei Takeshita, Masahiro Sasabe, and Hirotaka Nakano, “Improving success ratio of object search in highly dynamic mobile P2P networks,” IEICE Transactions on Communications, vol.E91-B, no.12, pp.3851-3859, Dec. 2008.

2.4. センサネットワークに関する研究

無線通信能力を有するセンサ端末を多数配置しネットワークを構成することによって,離れた場所から物体や環境の詳細な情報を収集,取得することのできるセンサネットワーク技術は,家電,建築,流通,農業,防犯,防災,福祉など広範囲な応用が期待されている.センサネットワークでは,アプリケーションによってはセンサ端末数が数百〜数千台におよぶことから,集中型の制御は現実的ではなく,自律分散型の制御が求められる.また,電池で駆動するセンサ端末の長期運用のためには電力効率の良い制御を行うことが望ましい.さらに,センサ端末の追加や電力の枯渇によるセンサ端末の除去,センサ端末の故障等に対応できる拡張性,適応性,柔軟性,耐故障性を持つ制御が望まれる. 本研究では,センサネットワークのこれらの特徴を考慮した研究に取り組んでいる.

2.4.1. センシング要求に適応的なセンサ情報収集機構の研究

センサネットワークによる遠隔監視
図:センサネットワークによる遠隔監視

周期的な情報収集を行うセンサネットワークアプリケーションでは,センシングや情報収集の周期にあわせて適切にセンサ端末がアクティブ状態とスリープ状態を遷移するスリープ制御が電力消費の抑制に効果的である.我々はこれまでに,多数のセンサ端末が無作為に配置された環境において,全てのセンサ端末からある端末への固定周期での情報収集や,あるセンサ端末から全てのセンサ端末への固定周期での情報拡散など,アプリケーションの要求に応じた形態の通信を自己組織的に構成することのできる進行波型通信機構を提案してきた.例えば,基地局への情報収集の場合には,センサ情報の収集タイミングにあわせて,センサネットワークの周縁部に位置するセンサ端末から順に,基地局から同じだけ離れたセンサ端末が同じタイミングで,センサ情報を発信,転送していく.その結果,同心円状の情報伝搬の波(進行波)が形成され,波のタイミングにあわせたスリープ制御を行うことができる.

自然環境や農地の定時観測のように,すべてのセンサ端末から同じ固定の周期でセンサ情報を収集する場合には,このような進行波型の通信機構が効果的である.しかしながら,アプリケーションによっては,特定または不特定の,少数または多数のセンサ端末が,センシング対象の状態変化やアプリケーションからの指示によって,より短い周期でセンサ情報を取得,送信することが要求される.例えば,図のような製鋼所高炉において炉壁の温度やCOガス濃度を遠隔監視する場合には,平時の長い周期のセンシングだけでなく,比較的長時間にわたって上昇,下降する温度の中周期でのセンシングや,急速に発生,拡散,移動するCOガスに対する短周期のセンシングが必要となる.また,異常の発生個所や規模の時間変化にあわせて,中・短周期のセンシングを行うセンサ端末も変更しなければならない.したがって,アプリケーション要求を満足できるよう,センシング対象の状態変化に応じて,適切なセンサ端末が適切な頻度でセンシングを行い,また,得られたセンサ情報を伝達するための,適応的なセンサ情報収集機構が必要である.

本研究では,複数のセンシング機能を有するセンサ端末により構成されるセンサネットワークから,センシング対象の状態変化に対するアプリケーション要求に応じた柔軟な周期でのセンシングおよび情報収集を実現するセンサ情報収集機構を提案した.提案手法では,進行波型通信機構を用い,平時には全てのセンシング対象から同じ固定の周期でセンサ情報を収集する.温度の上昇,COガスの発生などの異常が生じた場合には,センシング対象の変化の度合いに応じた適切な台数のセンサ端末がより頻繁なセンシングを行う.自律的なセンシング周期の制御のため,提案手法では,生物の群れにおける役割分化の仕組みを説明する数学モデルである反応閾値モデルを応用する.また,高頻度なセンシングによって得られたセンサ情報が基地局に伝達されるよう,頻繁なセンシングを行っているセンサ端末と基地局の間に位置するセンサ端末も,動作周期を変更する.結果,センサネットワークには,平時の情報収集の進行波と,異常情報を伝達するためのより早い進行波が混在する.シミュレーション評価により,提案手法を用いることで,センシング要求の動的な変化に柔軟に対応した電力効率の良いセンサ情報収集を行えることを示した.

[関連発表論文]

  1. 谷口義明, 若宮直紀, 村田正幸, “センサネットワークのための進行波型通信機構,” 第23回インターネット技術第163委員会研究会, May 2008.
  2. 谷口義明, 若宮直紀, 村田正幸, “センシング要求に適応的なセンサ情報収集機構,” 電子情報通信学会技術研究報告 (USN2008-29), pp.105-110, July 2008.
  3. Yoshiaki Taniguchi, Naoki Wakamiya, Masayuki Murata, and Takashi Fukushima, “An autonomous data gathering scheme adaptive to sensing require-ments for industrial environment monitoring,” in Proceedings of the 2nd IFIP International Confer-ence on New Technologies, Mobility and Security (IFIP NTMS 2008), pp.52-56, Nov. 2008.

2.4.2. センサ端末の空中散布に関する研究

センサ端末の空中散布に関する研究
図:センサ端末の空中散布に関する研究

センサネットワークのカバレッジ,コネクティビティ,寿命,ロバスト性はセンサ端末の初期配置に大きく影響されると考えられ,これまでに数多くのセンサ端末配置手法が提案されている.センサ端末の観測領域への配置方法としては,まず, あらかじめセンサ端末の最適な設置場所を決める確定的手法がある.この手法は,高価なセンサ端末を使う場合や屋内のような小規模な観測領域を対象とする場合には有効であるが,設置コストが大きく,多数のセンサ端末を広大な観測領域に設置するようなアプリケーションには不適である.全部あるいは一部のセンサ端末に移動機能を導入し,センサ端末自身が適切な場所に移動する手法は,環境に応じた柔軟なセンサ端末配置を実現できるが,移動装置にかかるコストや移動にかかる消費エネルギーを考慮しなければならない.また,センサ端末の性能や状態,障害物などの周囲の環境等によっては,必ずしも所望の位置に移動可能であるとは限らない.

飛行機やヘリコプター等によりセンサ端末を確率的に散布する方法は,大量の安価なセンサ端末を広域の観測領域に配置する場合に有効である.しかしながら,センサ端末が高価であるなどにより散布するセンサ端末数に制限がある場合,確率的動作によりセンサ端末が不均一に落下すれば,カバレッジホールが発生し領域を確実にセンシングできなくなる,他センサ端末の通信範囲内に配置されない孤立端末が発生する,などの可能性がある.

本研究では,森林,氷河など比較的大規模な観測領域からの環境情報収集のために,ヘリコプター等によりセンサ端末を一度に空中から散布するアプリケーションを対象とし,センサ端末の一様な初期配置を実現するための散布法を提案した.提案手法では,センサ端末の形状や補助装置を工夫し,落下時の挙動として(i)真っすぐに滑空する,(ii)真下に落下する,の2つを実現できるとする.滞空中センサ端末は周囲のセンサ端末数などの情報にもとづき確率的に挙動を切替えることにより,全体として観測領域に一様に分布して落下する.本研究では,シミュレーションによる評価により,提案手法を用いることで観測領域中にセンサ端末を一様に分布させて配置できることを示した.

[関連発表論文]

  1. 木谷友哉, 谷口義明, “落下挙動を切替可能なセンサ端末とその空中散布法の一検討,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2008-232), pp.499-504, Mar. 2009.
  2. Yoshiaki Taniguchi, Tomoya Kitani, and Kenji Leibnitz, “An airdrop deployment method for sensor nodes with coordinated gliding and falling,” to be presented at the Workshop on Sensor Networks for Earth and Space Science Applications (ESSA 2009), Apr. 2009.

2.4.3. データ集約の性能解析モデルに関する研究

データ集約の性能解析モデルに関する研究
図:データ集約の性能解析モデルに関する研究

電池で駆動するセンサネットワークの長寿命化のためには,センサ端末の送信するデータ量,パケット数ともに削減することが望ましく,そのためには,データ集約技術が非常に有効である.例えば,部屋の温度を複数のセンサ端末で観測するようなセンサネットワークアプリケーションでは,センサ端末から基地局への経路上において,観測値データのうち平均値からの差分のみを転送する,同一の観測値を持つデータを取り除く,などのデータ集約を行うことが可能である.

本研究では,近隣センサ端末から受信したセンサ情報を一定数バッファリングした後,集約して次のセンサ端末に転送するセンサ端末を対象として,そのデータ集約の性能を解析するための,待ち行列を用いた解析モデルを提案する.MGEOM1/D[a,S]/1/S待ち行列を対象とした解析,シミュレーション,MICAzセンサ端末を用いた実機実験により提案モデルによる解析の妥当性を検証した.

[関連発表論文]

  1. Kenji Leibnitz, Tobias Hossfeld, Yoshiaki Taniguchi, and Phuoc Tran-Gia, submitted for publication.

3. 発表論文一覧

3.1. 学術論文誌

  1. Cao Le Thanh Man, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Inline bandwidth measurement techniques for gigabit networks,” International Journal of Internet Protocol Technology, vol.3, no.2, pp.81-94, Sep. 2008.
  2. Go Hasegawa, Takeshi Tomioka, Kentarou Tada, and Masayuki Murata, “Simulation studies on router buffer sizing for short-lived and pacing TCP flows,” Computer Communications, vol.31, no.16, pp.3789-3798, Oct. 2008.
  3. Yoshiaki Taniguchi, Naoki Wakamiya, and Masayuki Murata, “Quality-aware cooperative proxy caching for video streaming services,” Journal of Networks (JNW), vol.3, no.8, pp.16-25, Nov. 2008.
  4. Go Hasegawa, Kana Yamanegi, and Masayuki Murata, “TCP congestion control mechanisms for achieving predictable throughput using inline network measurement,” IEICE Transactions on Communications, vol.E91-B, no.12, pp.3945-3955, Dec. 2008.
  5. Kei Takeshita, Masahiro Sasabe, and Hirotaka Nakano, “Improving success ratio of object search in highly dynamic mobile P2P networks,” IEICE Transactions on Communications, vol.E91-B, no.12, pp.3851-3859, Dec. 2008.

3.2. 国際会議会議録

  1. Kana Yamanegi, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “A transport-layer approach for achieving predictable throughput for Internet applications,” in Proceedings of the 7th International Conference on Networks (ICN 2008), pp.186-191, Apr. 2008. (Best Paper Award)
  2. Mizuho Kodama, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Implementation experiments of TCP Symbiosis: bio-inspired mechanisms for Internet congestion control,” in Proceedings of the IEEE 2008 International Communication Quality and Reliability Workshop (IEEE CQR 2008), Apr. 2008. (Best Paper Award)
  3. Yoshiaki Taniguchi, Naoki Wakamiya, Masayuki Murata, and Takashi Fukushima, “An autonomous data gathering scheme adaptive to sensing requirements for industrial environment monitoring,” in Proceedings of the 2nd IFIP International Conference on New Technologies, Mobility and Security (IFIP NTMS 2008), pp.52-56, Nov. 2008.
  4. Masafumi Hashimoto, Go Hasegawa, and Masayuki Murata, “Performance evaluation and improvement of hybrid TCP congestion control mechanisms in wireless LAN environment,” in Proceedings of the 2008 Australasian Telecommunication Networks and Applications Conference (ATNAC 2008), pp.367-372, Dec. 2008.
  5. Hiroshi Tokito, Masahiro Sasabe, Go Hasegawa, and Hirotaka Nakano, “Routing method for gateway load balancing in wireless mesh networks,” in Proceedings of the 8th International Conference on Networks (ICN 2009), Mar. 2009.
  6. Toshiaki Hidekuma, Go Hasegawa, Masahiro Sasabe, and Hirotaka Nakano, “Degree-based power control method for increasing spatial reuse in TDMA-based wireless mesh networks,” in Proceedings of the 8th International Conference on Networks (ICN 2009), Mar. 2009. (Best Paper Award)

3.3. 口頭発表(国内研究会など)

  1. 谷口義明, 若宮直紀, 村田正幸, “センサネットワークのための進行波型通信機構,” 第23回インターネット技術第163委員会研究会, May 2008.
  2. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境における複合型TCP輻輳制御手法の性能評価とその改善手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2008-28), pp.13-18, July 2008.
  3. 谷口義明, 若宮直紀, 村田正幸, “センシング要求に適応的なセンサ情報収集機構,” 電子情報通信学会技術研究報告 (USN2008-29), pp.105-110, July 2008.
  4. 時任宏, 笹部昌弘, 長谷川剛, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおけるゲートウェイ負荷を均一化するための経路制御手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (AN2008-27), pp.73-78, July 2008.
  5. 秀熊俊明, 長谷川剛, 笹部昌弘, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおける無線資源の利用効率を向上するための電力制御手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (AN2008-25), pp.61-66, July 2008.
  6. 小川祐紀雄, 長谷川剛, 村田正幸, “シンクライアントトラヒックの性能向上のための遅延解析とTCP層最適化,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-56), pp.75-88, Sep. 2008.
  7. 堀江拓郎, 長谷川剛, 亀井聡, 村田正幸, “大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバレイルーティング手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-63), pp.117-122, Sep. 2008.
  8. 堀江拓郎, 長谷川剛, 村田正幸, “大規模ネットワーク障害に対応可能なオーバーレイルーティング手法,” インターネット技術第163委員会技術研究報告, no.45, pp.4-6, Sep. 2008.
  9. 児玉瑞穂, 長谷川剛, 村田正幸, “帯域計測に基くTCPの輻輳制御方式とその改善手法,” インターネット技術第163委員会技術研究報告, no.45, pp.23-25, Sep. 2008.
  10. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境における複合型TCP輻輳制御手法とその改善手法,” インターネット技術第163委員会技術研究報告, no.45, pp.26-28, Sep. 2008.
  11. 栗山さやか, 長谷川剛, 中野博隆, “景観画像を用いた通行人密度の推定について,” 画像電子学会第242回研究会, Nov. 2008.
  12. 堀江拓郎, 長谷川剛, 亀井聡, 村田正幸, “オーバレイルーティング手法を用いた大規模ネットワーク障害からの回復,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-05), pp.41-42, Dec. 2008.
  13. 時任宏, 笹部昌弘, 長谷川剛, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおける経路制御によるゲートウェイ負荷の均一化,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-08), pp.47-48, Dec. 2008.
  14. 秀熊俊明, 長谷川剛, 笹部昌弘, 中野博隆, “無線メッシュネットワーク容量向上のためのノード電力制御手法,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-10), pp.51-52, July 2008. (優秀ポスター賞)
  15. 橋本匡史, 長谷川剛, 村田正幸, “無線LAN環境におけるTCPフロー間の公平性改善手法の提案とその評価,” 電子情報通信学会第6回QoSワークショップ (QW6-P-11), pp.53-54, Dec. 2008. (ベストポスター賞)
  16. 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークの密度にスケーラブルなネットワーク計測手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-107), pp.127-132, Dec. 2008.
  17. 児玉瑞穂, 長谷川剛, 村田正幸, “計測誤差および環境変動を考慮した帯域計測に基づくTCP輻輳制御方式,” 電子情報通信学会技術研究報告 (IN2008-141), pp.55-60, Mar. 2009.
  18. 木谷友哉, 谷口義明, “落下挙動を切替可能なセンサ端末とその空中散布法の一検討,” 電子情報通信学会技術研究報告 (NS2008-232), pp.499-504, Mar. 2009.
  19. 時任宏, 笹部昌弘, 長谷川剛, 中野博隆, “TDMA型無線メッシュネットワークにおける負荷分散及び電波干渉軽減のためのスパニングツリー構築法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-58), pp.1-6, Mar. 2009.
  20. 秀熊俊明, 長谷川剛, 笹部昌弘, 中野博隆, “無線メッシュネットワークにおける電波干渉および経路長を考慮した電力制御手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-59), pp.7-12, Mar. 2009.
  21. 森弘樹, 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイネットワークにおける経路重複を利用した計測手法,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-67), pp.53-58, Mar. 2009.
  22. 野田健, 長谷川剛, 村田正幸, “オーバレイルーチングによるキャッシュを考慮したP2Pファイル共有ネットワークの性能評価,” 電子情報通信学会技術研究報告 (ICM2008-72), pp.83-88, Mar. 2009. (情報通信マネジメント研究賞)

3.4. 博士論文・修士論文・特別研究報告

3.4.1. 博士論文

(該当なし)

3.4.2. 修士論文

  1. Mizuho Kodama, “Increasing robustness to environmental changes for congestion control mechanisms,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2009.
  2. Hiroshi Tokito, “Load-balanced and interference-aware spanning tree construction algorithm for TDMA-based wireless networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2009.
  3. Toshiaki Hidekuma, “Power control methods for improving spatial reuse in TDMA-based wireless mesh networks,” Master’s Thesis, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Feb. 2009.

3.4.3. 特別研究報告

  1. 合田幸裕, “複数の二値センサを用いたオブジェクトの移動特性検出,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.
  2. 相地宏樹, “ユビキタス環境の実現のための無線メッシュネットワークによる情報収集方式の性能評価,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.
  3. 竹森翔一, “IEEE 802.16 メッシュネットワークにおける物理トポロジ情報を用いた被覆領域の改善手法,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.
  4. 野田健, “資源探索範囲を考慮したP4Pネットワークの性能評価,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.
  5. 森弘樹, “オーバーレイネットワークの管理に必要な資源情報を得るためのスケーラブルな計測手法,” 大阪大学基礎工学部情報科学科特別研究報告, Feb. 2009.